今年度は,前年度まで作成したプロトタイプを用いて,人工的なワークロードおよび実践的なワークロードを用意してプロトタイプの詳細な挙動を解析した.読み込みだけのワークロードから始まり,一部のテーブルだけを更新,ランダムに更新など,こちらが挙動を完全に把握できる単純なワークロードを稼動させながらプロトタイプを用いて移送した.また,YCSB や Sysbench といった複雑なワークロードを稼働させ,提案方式の移送時間,資源使用量,および最適化機構の効果,移送用途別の効果などを評価した.
本研究を通して,応募課題の学術的な特色,独創的な点である,1).インメモリDB と VM モニタとを連動させる手法を示している点,2). 提案方式をソフトウェアとして実現する点,3). 提案の有効性を定量的に評価している点を示した.具体的には,提案方式の実現性(提案方式がソフトウェアとして実現可能であること.既存のオープンソースソフトウェアを拡張する形で提案方式を設計/実装した),Real-world なソフトウェアスタックに対する有効性(提案方式が実際のクラウド環境のソフトウェアスタックに対して有効に動作すること.実際のクラウド環境で採用実績のあるソフトウェアを用いてプロトタイプを実装した),実践的なワークロードに対する有効性(クラウド環境を模した環境を構築して,プロトタイプを様々なワークロードを用いて定量的に評価した.読み込みや一部テーブルの更新といった人工的なワークロードだけではなく,YCSB などの実環境を模したワークロードを与え,その挙動を確認した)を示した.
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