研究課題/領域番号 |
20K11746
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
宮本 俊幸 大阪工業大学, 情報科学部, 教授 (00294041)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ソフトウェア開発効率化・安定化 / ソフトウェア工学 / アルゴリズム / 情報システム |
研究実績の概要 |
高信頼ソフトウェアの開発は,安心・安全な社会を実現する上で必要である.ソフトウェアの信頼性を高める方法の一つとして,プログラムの自動合成がある. 良い仕様から仕様を満足するプログラムを自動合成することが出来れば,信頼性の高いソフトウェアが開発される.本研究では,分散システムにおけるモデルベースのソフトウェア開発を対象として,抽象的な要求仕様(シナリオ)から,分散システムを構成するモジュールの振る舞いモデル(状態機械)を自動合成するための理論構築およびアルゴリズム開発に取り組むことを目的としている.シナリオから状態機械を自動合成する多くの研究では平面的な状態機械を用いてい る.しかし,平面的な状態機械はしばしば複雑になり,設計者にとって理解しやすいモデルとなっていない.先行課題(基盤(C) 23500045, 26330083, 17K00100) では,シナリオの「再合成可能」な分割に基づくペトリネットを用いた階層型状態機械の合成アルゴリズムを開発した.先行課題ではシナリオの数理モデルにイベント構造と呼ばれる数理システムの利用を提案し.イベント構造における再合成可能性を提案し,再合成となるための必要条件および計算アルゴリズムを導出した. 本課題では先行課題による成果を発展させ,シナリオのイベント構造による表現方法,イベント構造から階層型状態機械への変換アルゴリズムの構築を目的としている. イベント構造の再合成可能性検査のためには不要な競合を除去する必要がある.令和4年度では,令和3年度までに開発した除去可能な競合を判定するための理論的条件および高速な擬似多項式アルゴリズムを計算機実装し,提案したアルゴリズムの評価を行った.さらに,複数のイベント構造から1つのイベント構造を導出する手法を開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度までの研究により,シナリオからイベント構造の導出,イベント構造における不要な競合の除去手法,再合成可能性の検査アルゴリズムの導出に成功しており,研究は概ね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度では,再合成可能なイベント構造から階層型状態機械を導出する手法の完成を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果の令和4年度内の論文掲載を目指していたが,査読プロセスの関係で令和5年にずれ込んだ。また,コロナ感染症の影響で国際会議での発表を控えていた。 令和5年5月に学術雑誌に論文掲載される.また,国際会議での成果報告を予定している.これらの理由により,令和5年度においても使用額が発生する.
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