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2020 年度 実施状況報告書

グラフデータベースをバックエンドとするソフトウェアに対するテスト手法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 20K11747
研究機関大阪大学

研究代表者

土屋 達弘  大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (30283740)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードグラフデータベース / テスト / グラフクエリ / テストカバレッジ
研究実績の概要

本研究では,NoSQLデータベースの一つであるグラフデータベースを用いるソフトウェアを対象としたテスト手法の確立を目指している.初年度となる2020年度では,まず,このようなソフトウェアを理解するために,グラフデータベースを用いたアプリケーションを開発した.ここで開発したアプリケーションは,単にグラフデータベースの理解を目的とするのではなく,本研究の過程で有用に活用できるように,ソフトウェアのテストに応用できるようなものとした.具体的には,ソフトウェアシステムに対するテストケースについて記述された文章の集合が与えられたときに,システムの各機能が十分にテストされているか,あるいは,テストが不十分な機能はどれか,といった,テストカバレッジに関する問いに答えることのできるアプリケーションを作成した.

開発したアプリケーションでは,テストケース記述と,システムの機能に対する要求仕様記述との類似性が与えられるものとして,それらのデータをグラフの形式で,グラフデータベースに格納する.テストが十分に実行されている機能や,そうでない機能を取り出してくる処理は,グラフクエリをデータベースで実行することで実現できる.実際の商用のシステム開発で得られたデータに対して,作成したアプリケーションを実行し,その処理性能の評価を行った.また,同様の処理を関係データベースとSQLを用いて実現した場合との比較も行った.この結果,グラフクエリはSQLクエリよりも各段に簡潔に取り出すべき情報を記述できること,および,処理性能では関係データベース(PostgreSQLを使用)の方が優れているが,グラフデータベース(Neo4jを使用)でも十分実用的な実行時間で処理が可能なことが示せた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究目的としているテストカバレッジ基準の開発とテスト自動化までは至っていないが,実際にグラフデータベースを用いたアプリケーションを開発し,その知見を既に論文としてまとめ,国内会議で発表し,さらに国際会議にも採録されているため.

今後の研究の推進方策

初年度で作成したアプリケーションのプログラムを例として,グラフクエリに対するテストカバレッジ基準を設計する.ここでテストカバレッジ基準とは,プログラムをテストする際に,クエリがどの程度異なる条件で実行されたかを測るための尺度となるものである.いくつかの基準を定め,基準を満たすことの困難さに関して,それらの異なる基準を体系づけることが,2021年度の主たる目標となる.

このようしてカバレッジ基準を設定することができた後に,テスト自動化に関する研究を進める.テスト自動化では,入力データとなるグラフを繰り返し生成し,カバレッジ基準の達成度が徐々に増加するように,入力データの生成過程を調整する.これを実現するための一案として,カバレッジを満たす問題を制約充足問題として表現し,問題を解いて得られた答を入力すべきグラフとして用いるという方法を検討する.

次年度使用額が生じた理由

当初RAとして雇用を予定していた博士後期課程の学生が研究課題を変更しため,2020年度分の人件費を支出しなかったことと,コロナ禍によって海外出張ができなかったことによる.2021年度は謝金を利用して,博士前期課程学生に研究協力を依頼する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 要求-テストケース間のカバレッジ分析におけるグラフクエリの応用可能性の検討2020

    • 著者名/発表者名
      有若新悟, 中川博之, 土屋達弘
    • 雑誌名

      信学技報

      巻: IEICE-KBSE2020-25 ページ: 53-58

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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