研究課題/領域番号 |
20K11751
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研究機関 | 東京都立産業技術大学院大学 |
研究代表者 |
追川 修一 東京都立産業技術大学院大学, 産業技術研究科, 教授 (00271271)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ソフトウェア / オペレーティングシステム / 計算機システム |
研究実績の概要 |
2021年度は、1) FPGAを含む計算資源の多重化を実現する機構の開発ならびに評価、2) FPGAを用いるアプリケーションのランチャ機構の研究をおこなった。 1) 本研究では、FPGAをCPUを含めた計算資源の1つとする概念を導入することで、従来はFPGAは1つのプロセスによってのみ専有されている場合には他のFPGAを用いるプロセスは実行を開始することができなかったところに、FPGAが専有されている場合は、他の利用可能な計算資源を用いて実行するという選択肢を与えることができ、これにより計算資源全体での多重化が可能になる。そのためには、FPGAに実行させるプログラムは基本的にCPUでも実行可能なプログラムとなっている必要があり、単一のプログラムから、高位合成(HLS)によりFPGA回路に変換して生成するIPとコンパイルして生成するバイナリの両方が必要となる。そのため、単一のプログラムからFPGAならびにCPUの両方で実行可能な形式を生成し、計算資源の利用状況に応じて用いる計算資源を選択、実行する評価をおこなった。実験環境は、Linuxが動作する評価ボード上に構築した。構築した機構を用いて行った実験からは、比較的単純な処理であってもFPGAを用いることで処理の高速化が可能であること、またFPGAの初期化処理はコストが大きいだけでなく処理時間のばらつきが非常に大きいことを明らかにした。 2) FPGAを用いるアプリケーションは、CPUで実行するプログラムの実行形式、FPGAで実行するプログラムの実行形式、FPGAで実行するプログラムの提供するデバイスインタフェースに関する記述などから構成され、CPUのみで実行するプログラムと同様には起動できない。そこで、実行に必要なファイルをまとめることで、実行を単純化するランチャについて研究を行い、スクリプトによるプロトタイプの開発をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において中心的な機構となる、FPGAを含む計算資源の多重化を実現する機構の開発を行い、その実行環境を構築し、実験を行うことができている。その成果は国際会議での発表および投稿をすすめていることから、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
特に有用性が高いと考えらえる、FPGAを含む計算資源の多重化を実現するための、単一のプログラムからFPGAならびにCPUの両方で実行可能な形式を生成し、計算資源の利用状況に応じて用いる計算資源を選択、実行する機構の開発および評価をすすめ、デモ可能な環境の構築に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020, 2021年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、国内外の現地における発表・情報収集ができなかった。 2022年度においては、新型コロナウイルス感染症の状況をふまえつつ、国内外における現地での発表・情報収集も検討する。
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