研究課題/領域番号 |
20K11754
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
廣津 登志夫 法政大学, 情報科学部, 教授 (10378268)
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研究分担者 |
佐々木 晃 法政大学, 情報科学部, 教授 (90396870)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | P4 / SDN / 5G / Telemetry |
研究実績の概要 |
本研究では、Society5.0時代の基盤ネットワークとなることが予想される大規模プログラマブルLocal 5Gネットワーク向けの制御技術および運用技術に関する研究を展開する。ここでは、『柔軟性を実現するために必要な開発コストの抑制』と『複雑な環境や制御に対する安定的な挙動の実現』を軸として、その管理運用技術およびそのためのシステム構成技術の研究に取り組む。2020年度は、柔軟な制御の基礎となる、複雑なネットワーク環境に置けるネットワーク状況の観測技術の研究をすすめた。 Local 5Gは高速・大容量・多接続と組織内の通信インフラストラクチャとしても有用な特性を持っていると考えられるが、実際の環境構築を考えるとミリ波帯の活用、特に電波の直進性の高さを考えるとメッシュ型Local 5Gネットワークの運用技術が重要である。そのような複雑なトポロジ構造のネットワークにおいては、その接続性・トポロジ・通信状況の監視・観測を柔軟に行うことができる必要がある。そこで、In-band Network Telemetry(INT)技術に着目し、柔軟にネットワーク状況のモニタリングを可能にする技術をP4を用いて実現した。INTにはパケットの流れに沿ってリアルタイムの状況を観測できるという利点があるが、一方でパケット中に情報を記録するため、単純に全ノードがINT処理を行うと通信に対するオーバヘッドが増大する。そこで、INTの要求を投入するエッジノードで任意のhopでのサンプリングを可能とし、オーバヘッドの増加を回避しながら、必要なところでピンポイントに収集する技術を提案した。この方式をP4を用いて実装しその実現可能性を明らかにすると同時に、収集データを制御に活用するためのデータ蓄積・処理基盤の研究を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は、多数の実機ノードを用いた開発や実験が難しいことから、プログラマブルネットワーク仮想化のための抽象記述や仮想化制御の研究を先送りにし、柔軟な制御のための要素技術の一つである、ネットワーク監視・観測制御技術の開発を先行して行った。そのため、全体的にみると進捗に幾分の遅れが生じた。この間に実験環境として有用な装置を入手することができたため、2年目以降で十分に回復できる範囲であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19による移動の制約をみながら、実機ベースの開発・実験を進める。2020年度中に、大学予算でP4対応プログラマブルスイッチが導入されたことから、既存の計算ノードや新規導入の機材からプログラマブルネットワーク仮想化・監視の実験基盤を稼働させ、その上で制御・開発技術の研究を行う。また、企業よりPrivate LTEの機材の貸与を受けることができたことから、Local 5Gの制御系となるキャリア系ネットワーク制御技術を用いた制御技術の研究を展開することで研究を加速する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は実環境を用いた実験に制約が大きかったため、機材の導入を見送り、仮想マシンを用いて実験できる研究テーマを先行して実施した。そのため機材費の使用分の多くが未使用となった。また、謝金・出張旅費についても、実施が難しかったりオンラインであったりしたことから未使用となった。これらは、2021年度以降に実機ベースの研究を進める際の機材導入や、国内外の研究発表において使用する。
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