研究実績の概要 |
本研究では、Society5.0時代の基盤ネットワークとなることが予想される大規模プログラマブルLocal 5Gネットワーク向けの制御技術および運用技術に関して、『柔軟性を実現するために必要な開発コストの抑制』と『複雑な環境や制御に対する安定的な挙動の実現』を軸とした基礎技術の研究に取り組んだ。2023年度は、軽量な端末でも処理可能な、3GPPネットワークと非3GPPネットワークを柔軟に使い分けるためのシームレスハンドオーバー機能の実現をすすめた。 Local 5Gの大容量・多接続といった特徴は、組織内の通信インフラストラクチャとして活用するなかでも、センサノードなどの多数のマイクロノードからのデータ収集や各種機器へのアクチュエーションにおいて有効であると想定される。そのような環境を組織内の制御基盤として利用することを考えると、高い安定性と障害等への耐性が必要になる。そのため、複数のアクセスリンクを併用して、安定的な通信環境を実現することが重要になってくる。その一方で、末端側では計算性能が高くない場合が多く、省電力化のためには計算量自体を削減することが求められるため、状況に応じた柔軟な通信制御を外部から行うことができる仕組みが必要になってくる。 そこで、5Gにおけるnon 3GPPネットワーク併用のための拡張規格であるATSSS (Access Traffic Steering, Switching and Spliting)に基づいたトラフィック制御技術をSDN技術を用いて実現した。具体的には、SteeringとSwitchingの機能をリンクレイヤ制御で実装し、高い安定性と信頼性のための仕組みを軽量に提供することができるようになった。
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