研究課題/領域番号 |
20K11759
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
沢田 篤史 南山大学, 理工学部, 教授 (40273841)
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研究分担者 |
野呂 昌満 南山大学, 理工学部, 教授 (40189452)
張 漢明 南山大学, 理工学部, 准教授 (90329756)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ソフトウェアアーキテクチャ / 品質特性 / IoT / ソフトウェア開発支援 |
研究実績の概要 |
本研究は2020年度より3年間の研究期間を予定しており,2021年度は2年度目であった.初年度の2020年度に行った調査結果に基づき,IoTシステムの品質とソフトウェアアーキテクチャとの意味的な関係の定式化について検討した. 研究重点課題として挙げた,品質特性とソフトウェアアーキテクチャとの関係の定式化と,定式化結果に基づくアーキテクチャ設計支援環境の構築については,研究代表者の沢田と分担者の野呂が相互に連携しながら研究を遂行した.2020年度においては,品質特性のうち,相互運用性と柔軟性を主な対象として取り上げた.2021年度ではこれら2特性の他に,利用性や耐故障性,リアルタイム性に関わる特性も取り入れ,具体的なアプリケーション構築を対象に事例検討を行った.検討結果は,国内外の査読付き学術会議論文として発表した.設計支援環境の構築では,品質特性に対応するアスペクトをモジュールとし,並行動作するアスペクト間の同期機構を設計するための方法論の検討を行った.その結果は,国内の査読付き学術会議論文として発表した. 残る重点課題である品質特性とアーキテクチャ設計知識との間の整合性管理方式については,研究分担者の張が中心となり研究を遂行した.この課題では,並行実現されるIoTアプリケーションにおいて特徴的な,イベントの同時性に着目したプロセス代数体系の整理を2020年度に引き続き行った.これに加え,アーキテクチャ設計とそれに基づいて並行プログラムとして実装されるIoTアプリケーションにおける不整合のパターンを整理し,デバッグに活用する方法について検討した.後者の研究成果は,情報処理学会組込みシステム研究会にて発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
重点課題として挙げた,品質特性とソフトウェアアーキテクチャの相互関係の定式化,およびIoTアプリケーション設計のための統合型支援環境の構築については,2020年度に引き続き,対象とする品質特性と適用事例の範囲を拡大しながら,検討の結果を査読付きの学術論文として発表することができた. 品質特性とアーキテクチャ設計知識の整合性管理方式については,2020年度においては分散並行処理の記述法のみにとどまっていたが,関連するプロセス代数体系の調査を行い,その結果を整理することにより,デバッグによる信頼性の確保という具体的な応用方法について検討が進んでいる. これらを総合的に評価すると,本研究課題全体としてはおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度(最終年度)においては,2021年度に引き続き三つの重点課題を中心に研究代表者,分担者相互に連携をはかりながら研究を遂行する. 最終年度の研究では,品質特性とアーキテクチャ設計との対応関係を知識として外在化することを試みる.そのうえで,外在化した知識に基づく,設計支援環境および整合性管理方式の実現に向けた検討を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症蔓延の影響で,国内外の学会・会議等がオンライン化され,成果発表のための形状していた旅費の執行ができなかった.また,資料整理やデータ収集などの補助作業を担当する大学院生についても感染症予防の観点から,対面での作業指示が困難な作業があり,感染症蔓延の状況に応じて作業実施を見送ったことから,予定した執行が困難であった. 次年度に繰り越した助成金については,感染症蔓延状況を注視しながら,研究成果発表のための旅費や人件費(研究補助の謝金)として充当する予定である.
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