研究課題/領域番号 |
20K11767
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
神崎 映光 島根大学, 学術研究院理工学系, 准教授 (80403038)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ドローン / 災害対応 / 協調動作 / 情報収集・伝達 |
研究実績の概要 |
本研究は、大規模災害発災時を想定し、さまざまな利用者が保持する自律飛行型ドローンを積極的に利活用して、被災地域における情報収集および伝達を効率的に行うシステムの構築を目指している。 初年度である本年度は、ドローンの動作制御技術として、複数のドローンを無線通信によって協調動作させ、被災地域全体を重複なく探索できるよう各ドローンの移動を制御する手法を設計した。この手法では、互いに無線通信可能となったドローン間において、それぞれが最近探索した地点に関する情報を共有し、これに基づき、以降に各ドローンが探索する経路を再設定する。特に今年度は、各ドローンの残余電力を考慮した手法、およびドローンのグループ化により探索効率を向上させる手法について考案し、シミュレーション実験によってそれぞれの有用性を検証した。前者の手法では、ドローンが充電を行う拠点の位置に基づき、各ドローンが探索を担当する領域の分割を行うことで、充電が必要となる環境においても高い探索効率を維持する。また後者の手法では、無線通信可能となった複数のドローンを用いてグループを構成し、グループ内で各ドローンが重複なく探索を行える経路計画を生成する。またグループ間での情報共有やグループの統合を行う動作についても規定し、偶発的に遭遇するドローン群を有効に利用した探索を実現する。本年度の成果については、国内外の複数の会議において発表を行い、その一部については研究会の推薦を受け、現在論文誌への投稿を行っている。 また、試作システムの構築として、偶発的に遭遇したドローン間の情報共有を実現するための無線通信デバイスの制御について設計し、簡易的な動作確認を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドローンの動作制御技術について、複数の手法の設計および評価が完了しており、得られた成果を国内外の会議において発表済である。また、一部の発表が論文誌へ推薦されるなど、高い評価を得ている。 また、試作システムの構築について、無線通信による情報共有を行うためのデバイス制御について設計が完了しており、成果発表には至っていないものの、ドローンを用いた試作に向けて着実に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度に設計したドローンの動作制御手法について、より詳細な性能の検証を行い、得られた結果に基づき、各手法のさらなる性能改善に向けた検討を行う予定である。また、各ドローンに搭載された電源やセンサ等の性能の差異を考慮した手法や、風等による移動の制約を考慮した手法について設計および評価を行う。 試作システムについては、ドローンの移動を制御するフライトコントローラと無線通信デバイスとの連携部分について着手し、無線通信による情報共有を行いながら自律的に自身の移動を制御可能なドローンの試作を目指す。 得られた成果については、国内会議、国際会議、および学術論文誌における成果発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大により県境をまたぐ移動が原則禁止され、出張を伴う会議参加や研究打合せの実施を断念せざるを得ない状況となり、旅費の支出が全く行われなかった。また、多くの会議がオンライン開催となり、参加費が減額された影響で、会議参加費に係る支出も予定より少なくなった。 次年度については、感染症が収束し次第、今年度実施できなかった対面形式での研究打合せや会議参加を行う予定であるが、収束時期によっては、今年度同様、旅費および会議参加費の支出が少なくなる可能性がある。
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