研究課題/領域番号 |
20K11774
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
谷川 陽祐 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90548497)
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研究分担者 |
戸出 英樹 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20243181)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 無線LAN / IEEE 802.11ax / 広域カバレッジ型無線ネットワーク / ネットワーク間連携 / 高密度配置 |
研究実績の概要 |
当初の予定に沿って、下記の通り提案方式を確立した。 まず、相互に電波干渉するほど近接して配置された各無線LANの通信容量を向上させる方式 (提案方式1) として、研究者らが提案している複数フレーム同時伝送法とも連携させる形でIEEE 802.11ax無線LANで導入されているOFDMAを用いたフレーム伝送法を確立した。シミュレーション評価により、無線LANの通信容量およびグッドプットに関する端末局間公平性の向上を確認した。 次に、各フレームの伝送に無線LANと広域カバレッジ型無線ネットワークのどちらを利用するか選択する方式について、上記の複数フレーム同時伝送法の効率的動作に有効なデータフレームは無線LAN、有効な同時伝送が行えない等で効率的動作に支障をきたすデータフレームは広域カバレッジ型無線ネットワークをそれぞれ選択する制御法 (提案方式2-1) を確立した。 さらに、データフレームの送受信局情報、伝送経路や伝送期間に関する情報を格納した制御フレームを広域カバレッジ型無線ネットワークで伝送する簡易な処理だけで伝送経路設定と無線チャネルの利用予約を行った後にデータフレームを電波干渉回避しながら高伝送レートの無線LANチャネルでマルチホップ伝送する方式 (提案方式2-2) を確立した。特に、このマルチホップ伝送前のハンドシェイク処理で伝送される制御フレーム数を削減する否定的ハンドシェイク応答、およびこのマルチホップ伝送を中継した端末局が送受信するフレームをマルチホップ伝送に連続して衝突を回避しつつ伝送することで無線LANと長距離無線ネットワークのチャネル利用効率を向上させるとともに、当該中継端末局に中継処理に対するインセンティブを付与する方式を確立した。シミュレーション評価により、本伝送法によってフレームの受信局到達率が向上し、かつ伝送遅延が抑制されることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
全ての提案方式の検討、確立を、当初の予定より遅延させることなく進めている。 また、提案方式2-2 については、否定的ハンドシェイク応答や、マルチホップ伝送を中継した端末局が送受信するフレームをマルチホップ伝送に連続して衝突を回避しつつ伝送するという当初予定していなかった機能の追加も行っている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定に沿って、提案方式1、2により無線LANと広域カバレッジ型無線ネットワークの通信容量を最大限向上させた状況下で、必要に応じて各無線LANに異なる無線チャネルを割当てる方式を確立する。 また、提案方式1、2の要素技術改良も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により、参加予定であった国際会議、研究会が全てオンライン開催になったことで、旅費は全く発生せず、参加費の所要額は予定より減額されたため、次年度使用額が生じた。 この次年度使用額は、2022年度に国際会議、研究会に参加するための旅費、参加費に利用する予定である。
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