研究課題/領域番号 |
20K11787
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
小林 一樹 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (00434895)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | スマートデバイス / 深層学習 / データ拡張 |
研究実績の概要 |
本研究では,環境データ,植物データ,生産者データの統合と活用による生産の効率化と安定化とを目指し,スマートデバイスが対話的に生産者から経験知を引き出す自動収集システムを実現することが目的である.研究機関全体での具体的な実施内容は (a) 対話的スマートデバイスの開発と包囲網の構築,(b) ナッジ理論を応用した生産者からの経験知収集,(c) 機械学習における訓練データとして利用可能にするデータ統合であり,2020年度はそれぞれ下記に示す研究を実施した. (a)に関しては,日常生活の中で積極的にユーザとのやりとりの機会を増加させるために,ユーザの行動に基づきスマートスピーカから話しかけるプロトタイプを開発した.行動検出センサとして人感センサを採用し,ユーザが特定の場所に位置したときにスピーカからユーザに話しかけることが可能となった. (b)に関しては,農園内の休憩小屋にスマートデバイスを設置し,音声認識に基づいて農作業内容を入力を実施した.このスマートデバイスは,ドアセンサに連動して話しかけを行うが,音声入力はボタンを押してからユーザ(生産者)が能動的に操作する必要がある.この点については,農家から話しかけがリマインダとして機能しているとのフィードバックを得ているが,2020年度の作業に関する入力は175件であり,入力頻度を増加させることが課題である. (c)に関しては,高精細農園モニタリングシステムによって収集した画像データから果実領域を自動認識するための訓練データ生成手法の開発に取り組んだ.農園を模倣したコンピュータグラフィクスを用いることで,機械学習用の訓練データを大量かつ自動に生成できる.そのための精度向上に寄与する条件を調査し,切り抜き画像による合成が有効であることを示唆する結果を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症対策の影響で,通常の研究室の運営が困難であるとともに,現地への出張が制限され,現地に合わせたスマートデバイスの設計が困難であった.
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今後の研究の推進方策 |
対話的スマートデバイスの開発に関しては,無線ヘッドセットを用いて生産者がどこにいても音声でやりとりできる手法をはじめとして,現地への出張が制限された場合でも,現地の形態に強く依存しない手法を検討する.また,生産者が回答しやすい発話内容や対話の組み立てが非常に重要になるため,この手法の開発に重点を置く予定である.高精細モニタリング画像を対象とした機械学習に関しては,継続して認識器の開発を行うとともに,対話的スマートデバイスを通して取得したテキストデータとの統合方法について検討を進め,特に画像へのアノテーションとしての活用を中心とした調査を実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は,新型コロナウイルス感染症対策の影響が大きく,協力農家と現地に合わせたシステム設計のための十分な議論ができなかったため,今年度において実施する.
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