研究課題
R4年度の研究目的は、耐量子高機能暗号プロトコルの設計と形式手法を応用した安全性証明の自動化である。研究実施計画に基づき、①同種写像問題に基づく認証鍵交換方式の設計と提案、②実用的認証プロトコルの自動安全性検証、に取り組んだ。認証鍵交換に関しては、CRYPTO2022で提案された同種写像問題に基づくパスワード認証鍵交換方式の構成を改良し、計算量と通信量を効率化できる方式を考案した。また、安全性証明において先行研究では通信が逐次的なケースに限定した安全性モデルでの証明となっていたが、本研究ではより汎用的な同時実行可能なケースも含む安全性モデルでの証明を行った。さらに、IoT環境に適したビックデータに基づく認証鍵交換の一般構成を提案し、具体的に同種写像問題から実現できることを示した。上記の認証鍵交換に関する成果は、国内学会(コンピュータセキュリティシンポジウム、暗号と情報セキュリティシンポジウム)で発表を行い、公知化した。また、国際会議(Australasian Conference on Information Security and Privacy)への採録が決定している。実用的認証プロトコルの自動安全性検証に関しては、次世代のパスワードレス認証規格であるFIDO2および非接触充電における充電器認証規格であるQi Authenticationについて、自動検証ツールを用いた形式化を与え、検証を行った。FIDO2については従来研究で捉えられていなかった攻撃を発見し、Qi Authenticationについてはなりすまし攻撃などへの耐性を明らかにした。上記のFIDO2に関する成果は、国内学会(日本応用数理学会研究部会合同発表会)で発表を行い、公知化した。Qi Authenticationに関する成果は、国内学会(暗号と情報セキュリティシンポジウム)で発表を行い、公知化した。
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IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences
巻: E105.A ページ: 1252~1269
10.1587/transfun.2021DMP0002