研究課題/領域番号 |
20K11809
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
猪俣 敦夫 大阪大学, 情報セキュリティ本部, 教授 (90505869)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ITS / IOT / 電源管理 / ノイズ |
研究実績の概要 |
本研究では、頑健なITS向けセキュア認証フレームワークの確立を目指す。具体的には、ITS向けクロスレイヤ上にセキュアな認証プロトコルを設計し、実機実装を行い評価を得た。その結果、処理に必要な計算リソースおよび環境制約からより効率かつ安定的に動作させるための基盤が必須であるため、この課題解決のため4つのサブテーマ:1.ITS向け認証プロトコル最適化・実装評価、2.電源管理機構設計・実装評価、3.情報サービスデバイスへの電気的特性監視と評価、4.ITS応用としての社会システム検討を設定し進めている。2021年度においては、2. 電源管理機構設計・実装を主に実施した。車載電源は蓄電池であることから、エンジンや燃調制御のための車載ECUおよび電装系装置を適切に動作させる必要があるだけでなく、エンジン動作により回生されることで安定的な電源が供給される。本研究提案における認証処理においては一時的な計算負荷により大きな電流が流れる可能性もあることから安定化DC/DCコンバータによる電源制御を実現させる。具体的には、車載に適した排熱、スペース等安全性を考慮し、電流制限および熱保護可能なDC/DCコンバータを用いた電源管理機構を実装した。また、その安定性を評価するために、いくつかのIoTデバイスを実装し、車内で評価実験を行った。その評価として、3. 情報サービスデバイスへの電気的特性監視として、バス間を流れる信号の電圧を動作タイミングとともに観測し、制御遅延や影響等を検証するために、オシロスコープでPWM変動等のデータを取得を行い、安定性について評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ITSを前提とした車載での計算処理の安定性として、特に電源管理に着目した設計と実装を行い、その効果を評価するための実験を実施した。内容として、複数のIoTデバイスとしてCO2センサーおよび温度センサー、DACを実装し、その出力状態を車内で動作させ安定性を評価した。具体的には、デバイスへの電気的特性監視として、バス間を流れる信号の電圧を動作タイミングとともに観測し、制御遅延や影響等を検証するために、オシロスコープで波形データを取得し、安定性について検討を行った。その結果、ノイズ影響を大きく受けていることからDAC等についてはノイズ対策が必須であることが判明した。また、データバスで用いるシリアル通信においては、暗号化対策が施されていないことから結局通信側で暗号化処理をしていたとしても、妨害させることは可能でありそれについてもなんらかの対策が必要となるため、その検討も併せて実施した。
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今後の研究の推進方策 |
今回の結果として、DACなどアナログ制御を必要とするサービスデバイスには大きく影響が発生するため、このノイズ対策が重要であり、例えば速度計やブレーキへの制動など自動車にとって重要な機能に対してはより細かな対策が必要となる。次年度においてはこの点を設計し直し、計算モデルをより効率化させ、ノイズ影響を受けにくいモデルの設計を中心に行う予定である。また、シリアル通信においては、暗号化対策が施されていないことから結局通信側で暗号化処理をしていたとしても妨害できてしまうことから、シリアル通信(UART)側でのなんらかの安全対策も検討を早急に進めていく。最後に、社会システムへの検討についても世の中のEV化の流れを踏まえて考えていく予定でもある。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍によって学会発表への出張を全て取りやめ、論文投稿のみとしたこと。また実証実験中心に進めてきたことにより物品購入(特に部品系)で予算を執行させていただいたため。
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