2022 年度実施状況報告書

頑健なITS向けセキュア認証フレームワークに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号	20K11809
研究機関	大阪大学
研究代表者	猪俣敦夫大阪大学, 情報セキュリティ本部, 教授 (90505869)
研究期間 (年度)	2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード	ITS / 車載コンピュータ / DC/DCコンバータ / ペアリング演算 / 楕円曲線暗号
研究実績の概要	ITS（Intelligent Transport System)向けセキュリティメカニズムとして、車載する計算機上に楕円曲線暗号（ペアリング演算）の実装に取り組んできた。本研究の大きな特徴はいわゆる暗号危殆化を意識したプロトコル設計や処理負荷、電源管理など、ITSコミュニケーションアーキテクチャに対してより安全性の高いセキュリティ手段の確立を目指している点にある。本研究の進捗の中で実装を進めるにあたり、車載のため計算機の電源特性がよろしくないこと、動作環境に安定性が大きな課題であることが判明した。このため、ECU（車載コンピュータ）と認証モジュールを搭載するデバイスの電源管理機構について本年は検討を進めた。ECUはバス型に接続され、各ECUからの情報はCAN(Controller Area Network)と呼ばれる車載ネットワークを通じて対応する情報サービスを提供するデバイス(メータや警告表示等)間にCANプロトコルを用いて通信が行われる。そのため、昨今の自動車窃盗においてもこのCANをターゲットに狙われることも多い現実がある。なお、本研究においては一般的な普通乗用車を今回はターゲットとしており直流13.8V程度の出力は見込めるが、さらに精度を高めるためにDC/DCコンバータをデバイスの回路に組み込み、全体として電源管理についても制御が行えるように検討を進めた。その結果、VICOR社の絶縁型DC/DCコンバータ(DCM2322）が本システム全体として適切であることが認められたため、全体システムとしての回路設計に着手した。現在、１パッケージ化するための組み込み実装を進めている段階にある。これらを利用して評価実験を実施し、その結果を整理して本研究成果の取りまとめとして論文投稿を目指す。
現在までの達成度 (区分)	現在までの達成度 (区分) 2: おおむね順調に進展している理由コロナ禍ということもあり国内へのほぼ全ての領域において半導体の入手不足の影響が大きかったことから、回路設計において変更をする可能性も視野に入れつつも、想定していた絶縁型DC/DCコンバータについては入手もさほど困難ではなかったことから、ハードウェアへの実装についても予定通り進めることができた。
今後の研究の推進方策	VICOR社の絶縁型DC/DCコンバータ(DCM2322）が本システム全体として適切であることが認められたため、全体システムとしての回路設計に着手した。現在、１パッケージ化するための組み込み実装を進めている段階にある。これらを利用して評価実験を実施し、その結果を整理して本研究成果の取りまとめとして論文投稿を目指す。今回の結果は、単なる認証手法の提案ではなく電気的側面からもその認証処理の応答性についてその影響を観測、検証を行う点が優れており、有用性の結果次第にもよるが標準化提案も視野に入れて進めていく予定である。
次年度使用額が生じた理由	世界的な半導体不足によりベンダーより調達不可という連絡もあり期間内に購入できない部材が若干発生したことが主な理由である。