研究課題/領域番号 |
20K11815
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研究機関 | 長崎県立大学 |
研究代表者 |
松崎 なつめ 長崎県立大学, 情報システム学部, 教授 (10781891)
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研究分担者 |
喜多 義弘 長崎県立大学, 情報システム学部, 准教授 (00758089)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ブロックチェーン / 鍵紛失対策 / 暗号資産の避難 / スマートコントラクト |
研究実績の概要 |
◆本研究の目的:本研究では,ブロックチェーンのような分散管理システムに適した鍵管理方法をモデル化から方法までを設計し,安全性を評価して,現行システムへの適用を検討することを目的とする. ◆研究テーマの絞り込み:取り組むべき研究テーマを「秘密鍵紛失対策」と設定した.この理由は2つある.1つ目は秘密鍵の紛失については,例えば暗号資産を分散管理するなど万が一鍵を紛失してもそのリスクを低減したり,カストディなどの機関に委託するなど運用的な対策はあるものの,安全でユーザの利便性を確保した技術対策が提案されていないからである. 2つ目はブロックチェーンを用いた主となるアプリである暗号資産においては,匿名性が必要であり,一方,紛失した鍵を回復するためには何らかの認証が必要と考えられ,この矛盾する2つの特性を両立することに学術的な興味を抱いたからである. ◆研究成果:3年間の研究機関のうち,初年度の2020年度の成果は2つである.1つはCSS2020(Computer Security Symposium:2020.10.26-29オンライン)のパネルセッションでの発表(DPS-07:ブロックチェーンに適した鍵漏洩対策の検討)である.ここでは,「秘密鍵紛失対策」に関する従来方法と,技術的解決の必要性を示した.この議論の中で,この課題解決の重要性を確認した. もう1つは,SCIS2021(The 38the symposium on Cryptography and Information Security:2021.1.19-22オンライン)での発表(2E1-3:鍵紛失時における非常ボタン式資産退避手法の考察)である.ここでは,鍵紛失の非常時に,匿名性を確保したまま,紛失した鍵に対応した暗号資産を避難するスマートコントラクトを導入して提案し,その有用性について議論した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度はCOVID-19の影響で多くの研究会がオンラインとなり議論の場が減った.しかしながら本研究においては,同じ組織内の共同研究者と,毎週議論の時間を設定し継続議論しているため,おおむね順調に進捗している.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は,SCIS2021で提案した方法において,避難先の秘密鍵を紛失から守る方法を詳細検討し,全体システムとして構築しその安全性と実用性を実装評価する予定である.さらに,現在提案されているシステムの調査も進め,現行システムへの適用を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度はCOVID-19の影響で多くの研究会等がオンラインとなり,出張費を使うことがなかった.今後,複数の国際会議のオンライン参加費等に使用し,最新の研究動向を調査して有用な研究に資する.
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