研究実績の概要 |
[I]COVID-19の影響を受け、当初予定していた2020年度・2021年度の研究計画に関しては十分な成果を得ることができなかった。そこで、2021年度以降に予定していた「秘匿計算法の開発」について改めて取り組み、参加者数が可算無限となる場合にも対応できるような非対話型のマルチパーティ計算(NIMPC)を実現するための基礎理論について検討した。その結果以下の成果を得た。 (1)「指示関数の計算」を、Beimelらにより提案されたNIMPC(Proc. of CRYPTO 2014)とは異なる原理に基づくNIMPCにより実現するアルゴリズムについて検討した。具体的には、従来知られている「中国の剰余定理に基づく秘密分散法」を応用した手法を構築した。(2)(1)で構築した手法について、参加者数が可算無限となる場合にも対応できるような拡張について検討した。(3)(1)および(2)のそれぞれにおいて構築した手法について、それらの効率(シェアサイズ、計算量など)を評価した。 [II]秘匿計算を実現する手法として、Yuらによる「ラグランジュ符号化計算法」(arXiv:1806.00939v4, 2019)と呼ばれる秘匿依頼計算アルゴリズムが知られている。このアルゴリズムにおける符号化アルゴリズムの改良について検討し、従来よりも高速に符号化が可能であり、さらにデータの再符号化が効率的に行える符号化アルゴリズムを構築した。このアルゴリズムは論文としてまとめられ、電子情報通信学会英文論文誌に投稿された。
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