研究課題/領域番号 |
20K11823
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
請園 智玲 福岡大学, 工学部, 助教 (50610060)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 電力解析攻撃 / 耐タンパ性 / ASIC / チップ試作 |
研究実績の概要 |
本年度は,128ビットAESの電力解析攻撃の対策回路であるWave-FlipFlopを提案し,まずFPGA実装での耐タンパ性の検証を実施し,其の結果,Wave-FlipFlopは少なくともFPGA実装において,同等の耐タンパ性をもつと推測できるWDDLと同程度の効果があることが確認された.WDDLは耐タンパ性のために高い面積コストを支払う必要があるため,ほとんど面積コストを必要としないWave-FlipFlopは従来手法より優れているといえる.この結果は国際会議と国内研究会で報告済みである. また,FPGAではなくLSI(ASIC)実装において,提案手法の優位性を示すために,本研究費を用いてローム0.18umプロセスで128ビットAES暗号処理チップを設計し,2回のチップ試作を実行した.2回の試作のうち1回目のチップは納品され,検証のために設計した評価ボード上に実装し,電力測定の準備をしている.今後,準備が整い次第,電力解析攻撃の評価を開始する予定である. この他にも,クロックソースの多重化やマスク(乱数)による消費電力変動など,多岐にわたるLSIの消費電力制御手法の提案をしており,それらの予備実験を行なっており,Wave-FlipFlopの強化や他のアプローチの研究も進んでいる.特にマスク技術を応用したWave-FlipFlopであるMasked Wave-FlipFlopはFPGA実装による攻撃評価まで令和3年度中に済ませており,最終年度にはこれも論文として報告予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度,研究計画では,LSIの電力制御でスイッチング確率を変動させる回路構成の具体的提案とLSIチップの試作が実行される予定である.その予定通り,回路構成の提案をして,FPGAによる予備評価が完了し,その回路のチップ試作を2度行った.このことから,現在までの進捗状況は計画通りであるといえる.
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今後の研究の推進方策 |
今後はASICにおける電力解析攻撃の評価環境を完成させるとともに,提案手法のバリエーションを変えた手法のASIC実装を設計し,さらに2回程度のチップ試作を行い,評価データを充実させ,LSIの電力制御によるサイドチャネル対策の有用性を証明する.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で旅費の執行が滞ったため,翌年度に国際会議で渡航予定とし,執行予定.
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