研究課題/領域番号 |
20K11826
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
王 立華 国立研究開発法人情報通信研究機構, サイバーセキュリティ研究所セキュリティ基盤研究室, 主任研究員 (00447228)
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研究分担者 |
小澤 誠一 神戸大学, 数理・データサイエンスセンター, 教授 (70214129)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | プライバシー保護 / 準同型暗号 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
課題1.「セキュアなクラウド・エッジコンピューティングに関する研究」の子課題「準同型計算と大小比較の融合」に取り組み、プライバシー保護データマイニングに活用されるセキュアな大小比較アプローチについて研究し、効率性、安全性、及び柔軟性を向上させるために、従来研究の最も効率がよいセキュアな大小比較アプローチSK17を改良した3つの方式を提案した。その中で、Efficiency-enhanced提案方式は既存方式SK17より50%程度で効率化を実現した;Security-enhanced提案方式はデータ所有者とクラウドサーバの間Oneランド通信(非対話型)で暗号化したまま大小比較の結果計算でき、サーバからデータを完全に守るより高い安全性を実現した。成果は国際会議The 23rd International Conference on Network-Based Information Systems(NBiS2020)発表した。 課題2.「プライバシー保護しつつ直・並列学習メカニズムの設計」の子課題「同・異業種データを柔軟に処理可能な直・並列学習メカニズムの提案」に取り組み、プライバシー保護決定木推測の効率化アプローチを提案した。提案手法は同業種か異業種かにも関わらず、適用可能であるので、汎用性がある。また、決定木の各ノードで分岐する時、クラウドサーバ経由で特徴値と閾値の大小比較を計算しなければいけないので、上記のEfficiency-enhancedセキュアな大小比較提案方式を利用した。成果は論文誌投稿中。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り進んでいる。 課題1(代表者が主担当)を巡り、これまでの共同研究成果を生かして、まず、効率性、安全性、柔軟性を向上させるために、従来研究の最も効率がよいセキュアな大小比較アプローチSK17を改良した3つの方式を提案した。これは(1-1)セキュアな大小比較技術とセキュアなクラウドコンピューティング技術を融合の位置づけを行った。次に、(1-2) エッジコンピューティング技術について調査を着手した。 課題2(代表者と分担者が共同担当)を巡り、まず、研究分担者の小澤誠一教授及び小澤研究室の大学院生二人主に、(2-1)の準備として、同業種のデータの特徴量抽出に関する課題の整理、及び標準化された特徴量を用い平文のまま解析精度を高める処理手法の選定を着手しており、プライバシー保護決定木推測方式や、異常検知及び追加学習について研究調査を進んでおり、来年度から異業種データ向けの研究を取り組んで行く予定。次に、代表者は主に、(2-2)認証機能付き異業種データの解析に適用可能なプライバシー保護したまま学習メカニズムの設計に向け、ブロックチェーンの基礎勉強及び応用調査を進んでいる。 課題1に関して、研究成果1件を国際会議NBiS2020で発表し、プロシーディング「Advances in Networked-Based Information Systems」で掲載した。課題2について、同・異業種データともに適用可能なプライバシー保護決定木推測効率化方式を論文誌投稿中。また、来年度以降具体的な提案方式の実装の事前準備として、研究分担者 小澤誠一 教授(神戸大学)が計算実験に用いるPCを購入した。
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今後の研究の推進方策 |
研究分担者とのZoom・(可能な限り)対面での研究打ち合わせなどにより、引き続き課題1の(1-2)「セキュアなクラウド・エッジ・クライアントコンピューティングの統合」、および課題2.「プライバシー保護しつつ直・並列学習メカニズムの設計」について研究を行う。 上記の秘密計算の理論研究は代表者が行う。プライバシー保護機械学習方式の設計は本プロジェクトメンバー全員共同で行う。実験環境の整備、提案方式の実装・計算実験については研究分担者小澤教授研の学生二人(神戸大学)が行う。 旅費は神戸大学の学生メンバーのNICTインターンシップや、研究打ち合わせ、研究調査及び成果発表を目的とした国内・国際会議への参加で支出する予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)計画当初は定期的な研究打合せ及び国内学会・国際会議参加ための旅費を予算したが、コロナの影響で全部Online開催に変更されたので、当初想定していた旅費を大きく下回った。今年度使用しなかった経費は、次年度にPCの購入、また、研究用図書などの資料購入に充てる予定。 (使用計画)令和3年度の申請額 70万円と合わせて、約107万円の予算について、下記のとおり使用する予定である。【物品費・その他】学会参加登録費、研究用PC及び図書など資料の購入(代表者:約52万円、研究分担者:約5万円)、成果発表するための別刷り代など(代表者:約10万円)【人件費・謝金】提案方式の実装するため、補助員雇用(代表者:約10万円)【旅費】年度後半想定した及び研究分担者と研究打ち合わせ、及び協力学生インターンシップための旅費、(代表者:約20万円、研究分担者:約10万円)
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