① 岐阜大学病院の倫理委員会の審査を受け、本研究計画と医用画像の使用が許可されました。岐阜大学で収集した医用画像を海外で公開された画像データセットと合わせて、本研究の基盤である大規模な人体画像のデータセットを構築しました。このデータセットは、医学研究や医療の分野において、新たな知見や技術の開発に貢献することが期待されます。 ② 体幹部における人体の解剖構造を細分化し、医師の指導を受けて人体の主要な内臓と骨格・筋肉をCT画像から手動で抽出し、医用画像とその上に解剖構造を両方備えた教師データセットを作成しました。これによって、医用画像を用いた計算機の自己学習に必要な知識データを揃え、医療現場での診断支援や手術計画などに役立つツールの開発に寄与することが期待されます。 ③ 医用画像からの解剖学構造の認識・抽出、画像間の位置合わせ、症例の自動判別など異なるタスクを共通の枠組みで学習する方法を提案しました。実験の結果から、異なるタスクを実現するために構築したモデルでは共通の部分があり、計算機の学習によって医用画像における汎用的医学知識の獲得が可能であることを確認しました。これにより、画像診断や疾患の早期発見などの医療の向上に寄与することが期待されます。 ④ 大量な医用画像データに基づいて様々なタスクに対応するモデルの構築を繰り返しながら、異なるモデルの共通部分を保ちながら、新規のタスクに必要な知識を逐次的に学習する方法を提案し、初期の実験結果からその有効性が示されています。この手法は、医療技術の進歩や個々の患者に合わせた治療法の開発に役立ちます。 ⑤ 以上の追加学習を繰り返し、医学診断に必要な汎用的モデル「辞書」を構築する発想が実現可能であることを検証しました。この「辞書」は、多岐にわたる医療情報や画像データからの知識を統合し、医師や医療従事者の診断や治療に役立つことが期待されます。
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