研究課題/領域番号 |
20K11830
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
森本 康彦 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (00363010)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | データマイニング / プライバシー / プライバシー保護データマイニング / ユーティリティ / 匿名化加工 / 秘密計算 / Society5.0 |
研究実績の概要 |
すべての人とモノがつながるSociety5.0と呼ばれる社会を想定したうえで,本研究は,以下のような課題の解決を目的とする. (1)IoT機器を通して,ほとんど無意識に様々な情報が記録されることになる.そのような情報のうち直接的,または間接的にプライバシーを侵害しうる要素を特定し,それぞれのリスクを測定する.以降,直接的,間接的にプライバシーを侵害しうる情報を「プライバシー情報」と呼ぶ.(2)プライバシー情報のうち,データマイニングなどの分析を行う価値の高いものに対して,その価値をできるだけ保った匿名化加工法を考案する.(3)分析価値の高いプライバシー情報のうち,比較的価値の低い別の関連情報を,削除あるいは加工することなどで,元データを匿名化加工せずに非プライバシー情報化する手法を考案する.(4)フィジカル空間で収集されたIoT情報の移動をサイバー空間でできるだけ局所化した状態で分析するプライバシー保護データマイニング手法(秘密分散計算技術)を開発する.以上の4つの要素技術を研究開発することで,プライバシーのリスクと情報価値のバランスを考慮したIoT情報の記録および共有が可能となる. 本研究の研究期間はR2年度からR5年度までに4年間でこの実績はその初年度のものである. 初年度は,上述の各課題を具現化するような成果に至ってはいないが,その要素技術になりうる研究成果として,匿名化加工を行ったID-POSデータからのマイニング手法を開発した.この成果により,居住地と店との距離,居住地と競合店との距離が売り上げにどう影響しているかを分析することができた.この手法はビジネス上の価値を評価され,国際会議での発表時に「Best Paper Award」を受賞した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
この年度はコロナ感染症の問題が発生し,私を含め,大学に所属する研究者は,オンラインへの対応,来学の制限,国外のみならず,国内の往来制限という,まったく想像していない影響を受けた.現在までにオンラインでの研究実施体制も整い,現在は研究を進めることができるようになっているが,開始当初のこの影響は大きかった.
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今後の研究の推進方策 |
研究の部分問題の多くを,オンラインでも実施できる環境を整えることができたこと,次年度にはワクチン接種などにより(国際往来以外の面では)正常化も期待できるため,このまま計画したとおりに研究を継続することで遅れは取り戻すことができると考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた国際会議への参加,国外の共同研究者との共同研究のための国際往来がすべてキャンセルとなったため,そのために計上していた額が未使用となった.国際往来が可能となった場合に使用する計画ではあるが,次年度でその環境が整うかどうか依然として不透明であるため,計算機など実験用の機器を前倒しして使用することも併せて計画している.
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