研究課題/領域番号 |
20K11834
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
林 貴宏 関西大学, 総合情報学部, 教授 (60342490)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ベクタ画像 / 類似画像検索 / 画像切り抜き |
研究実績の概要 |
(1)前年度に引き続きベクタ画像検索における間接照合法の改良アルゴリズムの開発および評価実験を行った。ベクタ画像検索においては、ベクタ画像を構成する図形要素の数や輪郭の複雑さに依存して計算量が変化するため、画像により計算量が増大することが問題となっている.本年度は、ベクタ画像の高速検索のために開発した間接照合法を改良し、安定的に高い検索精度を得る新たなアルゴリズムを開発した。具体的には、間接照合法で用いる代理クエリと呼ばれる画像を、実クエリに応じて実行時に動的に決定する動的代理クエリ選択法を新たに開発した。改良アルゴリズムの評価として、2種類の図形データセット(MMPEG-7 CE Shape-1 Part BデータセットおよびSwedish Leaf Datasetデータセット)を用いて有効性の検証実験を行った. (2)要部観察に基づく類似検索の精度向上へ向け,画像中の要部を簡単なユーザインタラクションで切り抜くためのアルゴリズムを開発した.画像切り抜きにおいては、ユーザが入力する手がかり情報の量に依存して切り抜きの精度が変化する。そこで、安定的に高い切り抜き精度を得るために機械学習ベースの切り抜き手法を新たに提案した。具体的には、深層学習を用いることで、画像切り抜きに必要となる十分な量の手がかり情報を自動的に取得する手法を提案した。予備実験を行い、提案手法によって、ユーザ入力を自動化しつつ、高い切り抜き精度を獲得できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度から継続しているコロナ禍による研究教育業務への影響により、当初の研究計画に比べるとやや遅れている。特に研究計画の初期段階(2020年度)において、研究協力者(他機関の研究者や大学院生)との共同開発等の連携が十分にできなかったこと、また、発表を予定していた学会がキャンセルとなったことが主な要因として挙げられる。さらに、2021年度は深層学習に必要となる計算機の調達を予定していたが、世界的な半導体供給の滞りにより、早期に調達できず、実施時期が遅れた。一方で、コロナに伴う様々な規制等も緩和されたため、現在は、研究協力者との連携は十分にとれており、研究開発は順調に進んできている。また、学会等もオンラインでの開催が常態となったこともあって、研究成果の発表も問題なく実施できている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の通り、要部観察に基づくベクタ画像検索システムの開発および要部の判定アルゴリズムの開発を完成させる。現在は、深層学習を利用するための計算機リソースが不足しているので今後新たに調達し、研究を加速させる。また、研究成果を国内外の学会や論文誌等で発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
成果発表のために予定していた国内学会および国際会議での出張旅費が、オンライン開催となったことで未使用となったことが主な要因である、現時点で、研究に必要な計算機リソースが不足しているで、次年度は、GPUを搭載した計算機を調達する。半導体価格の上昇により、調達価格が当初計画していた予算よりも高額となる見込みであるため、不足する場合は、出張旅費等の未使用分を割り当てる。
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