研究課題/領域番号 |
20K11842
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
藤本 典幸 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90294165)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高性能計算 |
研究実績の概要 |
本研究で開発するソルバ(計算機プログラム)の対象問題である無制約二値変数二次最適化問題(QUBO)は,その形式的定義が簡潔であるにもかかわらず,多くの重要な組み合わせ最適化問題を簡潔に帰着できる高い表現力を持つ.しかし,QUBOはNP困難であるため,多項式時間で厳密解が得られることは一般には期待できず,量子型・非量子型のハードウェア・アクセラレータにより近似解を現実的な時間で求める研究が最近盛んに行われている. 本研究では,QUBOを制約無し二目的連続最適化問題(BUCO)に帰着して解く新しい解法を提案する.さらに提案する解法を価格性能比のよい並列計算プラットフォームであるGPUを用いたGPUプログラムとして実装し,QUBOの高速求解を目指す.本研究によりQUBOが高速に解けるようになれば,多くの組み合わせ最適化問題が高速に解けるようになり,様々な実応用問題が高速に解けるようになる. 本研究では群知能を活用した多点探索アルゴリズムである粒子群最適化手法を用いて二目的最適化問題を解く.研究代表者らはこれまでに様々な手法で最適化問題を解くGPUプログラムを多数開発してきており,特に2018年にはGPU1基を用いた粒子群最適化によりBUCOをCPUより最大182倍高速に解くGPUプログラムを開発した. 令和3年度は,前年度に試作したQUBOをBUCOに帰着して粒子群最適化手法を用いて解くGPUプログラムの性能評価を行った.性能評価には、BeasleyやGloverらが提案するベンチマーク問題を用いて,求解時間の他,得られたQUBOの解の近似精度を評価した.また粒子群最適化手法により得られる非劣解集合が時間の進行に伴いどのように変化するかを可視化してアルゴリズムの改善点を検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初研究計画の通りに研究が進んでおり,研究成果を7月開催のACM主催の査読付き国際会議で発表済みであるため。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は,令和3年度までに開発・改良したGPU1基を用いるQUBOソルバを複数のGPUを用いるように拡張してさらに高速化し,その性能評価と改善を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの世界的な流行により,国際会議等の出張旅費がかからなかったため,次年度使用額が生じた.これは研究成果を国際会議等で発表するための旅費として使用予定である。
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