研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、相対論的磁気流体力学に対する高解像度数値解法を研究・開発し、高エネルギー磁気流体力学現象に関する次世代シミュレーション研究の基盤を構築すると共に、数値磁気流体力学を通じて、高エネルギー原子核物理学と高エネルギー天体物理学の学際的な研究領域を開拓することにある。 本年度はMilne座標系(膨張座標系)における相対論的抵抗性磁気流体力学に対する高解像度コードの開発を完了し[Nakamura, Miyoshi, Nonaka, and Takahashi, The European Physical Journal C]、世界に先駆けて電気伝導度を考慮したクォーク・グルーオンプラズマ(QGP)の動的モデルの構築に成功した。学際的応用研究として、高エネルギー原子核衝突系におけるQGP媒質および電磁場の現実的な初期条件のもとで、対称衝突系(Au-Au衝突)および非対称衝突系(Cu-Au衝突)における電磁流体力学的膨張過程の電気伝導度依存性などについて調査を行った[Nakamura, Miyoshi, Nonaka, and Takahashi, Physical Review C ]。さらには、指向流れおよび楕円流れに対するcharge-oddな寄与に関する調査を行い、電荷依存異方的流れがQGP媒質の電気伝導度抽出に適したプローブであることを明らかにした[Nakamura, Miyoshi, Noanaka, and Takahashi, Physical Review C]。また、昨年度まで進めてきた背景磁場効果を含むカイラルプラズマ不安定性の理論解析に基づき、新たに高密度カイラル磁気流体力学の高解像度3次元シミュレーションを開始した。
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