研究課題
まず令和2年度では呼吸における肺の変形に伴う気管支気流の流体構造連成解析手法の開発を行った。有限要素法による変形解析と格子ボルツマン法による流れ解析は、埋め込み境界法とサブ反復スキームを介して結合される。また、計算精度を向上させるため仮想構造法を開発した。開発した連成解析手法に対する検証を行った。解析結果を従来研究と比較し、良い一致が得られた。一方、気管支気流解析における気管支モデルの構築では、複雑な気管支システムの構造と領域識別のため、トポロジー解析を用いた気道出口の自動検出アルゴリズムを提案し、効率的気管支システムのボクセルメッシュの構築手法を開発した。令和3年度では、肺の変形に伴う気管支気流の流体構造連成解析手法にGPGPUを導入した高速計算手法を開発した。開発した手法は、大規模な連立一次方程式を解く必要がなく、並列計算に適しているため、GPGPUの並列実装が可能となり、これにより、計算速度が18倍以上向上でき、高精度かつ高効率な肺内気流の連成解析を実現した。次に、気管支に関しては流体構造連成解析(3D)、細気管支に関しては管内気流解析(1D)、肺実質微細構造に関しては多孔質体内気流解析(0D)を行い、各スケール間は運動量保存と質量保存に基づいて接続される高精度マルチスケール気流解析手法を開発した。令和4年度の研究では、開発してきた高速かつ高精度呼吸系シミュレーション手法を改良しながら、臨床応用を行った。研究分担者の呼吸器内科専門医の指導の下、健常者、COPD、喘息、ACO患者の CT 画像から気管支モデルを作成したのち気道本数を算出し、開発したシミュレーション手法で気管支気流解析を行い、解析結果で得られた流体力学的データと肺機能との相関性を検討し、細気管支の気道本数と平均流速が有効な診断指標となる可能性を示した。令和5年度では国際会議で研究成果の発表を行った。
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Computers in Biology and Medicine
巻: 171 ページ: 108150~108150
10.1016/j.compbiomed.2024.108150