研究課題/領域番号 |
20K11866
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
右田 剛史 岡山大学, 自然科学学域, 助教 (90362954)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | パラメータ推定 / レイトレーシング / GPU / 画像列 / 逆問題 |
研究実績の概要 |
本研究課題では画像からのパラメータ推定の高度化を目指している.この手法は画像生成の逆問題として定式化され,推定パラメータに基づく生成画像と入力画像の差を最小化するようにパラメータを反復的に最適化するものであり,順計算である画像生成を繰り返し行う必要がある.近年,画像生成専用ハードウェア(GPU)による高速なレイトレーシングが可能となっており,従来型グラフィクス(三角形に基づく描画)に比べ複雑な反射や影のある画像を扱うことができる.一方,複雑な画像の解析ではパラメータ推定の難易度も上がるため,新たな効率的な計算法の開発を要する. 本年度は,前年度までの超楕円体(楕円体を含む)を利用した推定手法を拡張し,レイトレーシングによる画像生成からのパラメータ推定を実現した.(i) 物体表面のテクスチャを,物体形状と配置・光源位置等のパラメータと同時に推定する.レイトレーシングは,画像中の複雑な反射を計算する手法であり,ヤコビ行列(出力画像とテクスチャの関係)は複雑になる.この計算を効率的に行うためのデータ表現法と計算法を新たに考案し,それに基づくパラメータ推定法を実現した.(ii) 前年度にも検討した交互推定を用いる.一方,Schur補行列等の複雑な方法の利用は難しい. (iii) これらの計算は GPU 上で実行され,CPU を介することによるオーバーヘッドは低減されているが,数値微分のための数十枚の画像生成等は効率化の余地がある.(iv) レイトレーシングの利用は透視投影モデルとほぼ不可分であり,従来利用していた並行投影モデルから切り替えた.(v) レイトレーシングでは反射・影・屈折を扱うことが多いが,現時点では屈折には対応していない.(vi) 現時点で扱える3次元シーンの自由度が低いため,より一般的なシーンを容易に扱えるように一般化を要する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の進捗は当初の重要な目的を達成しているが,感染症の影響などにより発表の機会が年度内に収まらなかった.
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今後の研究の推進方策 |
当初の重要な目的であるレイトレーシングの逆問題は実現されたが,より一般化・高機能化する余地はある.また,類似システムとの比較を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
成果発表を次年度に行う.
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