研究課題/領域番号 |
20K11879
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研究機関 | 大分工業高等専門学校 |
研究代表者 |
木本 智幸 大分工業高等専門学校, 電気電子工学科, 教授 (30259973)
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研究分担者 |
園田 潤 仙台高等専門学校, 総合工学科, 教授 (30290696)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 地中レーダ / 教師無し学習 / 人工知能 / 非破壊検査 / 地下欠陥検査 |
研究実績の概要 |
正解ラベルありデータに比べ、正解ラベル無しデータはその数百倍以上の量が存在すると言われており、ディープラーニングにおいて、それをどう扱うかが大きな課題となっている。本研究で目指すレーダ画像による社会インフラの劣化検査システムの開発でも同様の課題に直面しており、これを解決して高精度かつ高速な検査システムを構築することは急務である。 地中レーダでは、地上から地下に向けて電波を発射して、地下埋設物による電波の反射を検知して、地下状態を把握する手法である。このとき、レーダ画像は反射画像であるため、レントゲンのように埋設物をそのまま映し出しておらず、画像から地下埋設物の種類を特定することは難しい。そこで、人工知能(AI)によって、反射画像を学習して識別させることを試みてきた。しかしながら、反射画像は地上から容易に取得できるものの、埋設物が何であったかの正解ラベルは掘削してみるしかなく、AIの学習のために大量の画像と正解ラベルのデータセットを準備することが困難である。そこで、本研究では、レーダ画像だけを使って、教師無し学習モデル(変分オートエンコーダ、VAE)に学習させ、画像のデータ構造を低次元の潜在変数に落とし込んだ後、少数の正解ラベルを使って、教師あり学習をした。本年度は、シミュレーション画像による実験ではあるものの、正解ラベルの無いレーダ画像で潜在変数に変換させることで、少ない教師ラベルだけでも識別性能が向上することが分かった。本結果は、2020年度の人工知能学会全国大会で発表し、全国大会優秀賞を受賞することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
正解ラベル無しのレーダ画像でデータ構造の抽出を、教師無しAIモデル(変分オートエンコーダ、VAE)で行い、そこで得られた潜在変数を入力として、少量の正解ラベルでラベル付けを行うことで、教師無し学習をしなかった場合と比べて、78%の正解率が90%となり、大幅な改善が見られた。本結果は、2020年度の人工知能学会全国大会で発表し、全国大会優秀賞を受賞することができた。
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今後の研究の推進方策 |
シミュレーションによるレーダ画像での検証であるため、現場の実レーダ画像での性能を評価する計画である。その際、シミュレーションと現地の環境パラメータの差異で、AIが正しく識別できない可能性があるため、その際を埋めるための画像変換を行うAIの導入を行って、識別性能の向上を行う計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの影響で、フィールド調査のための出張ができなかったため、その出張費等を次年度に繰り越した。この分は次年度にフィールをワークを実施する。
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