本研究課題の目的は、4次元空間においてオクルージョンを考慮したライトフィールドカメラにおけるマッチングモデルを構築し、その性質を明らかにすることであった。 この研究課題について、最終年度である令和4年度では、以下の成果が得られた。マッチング後の推定結果の修正処理に、4次元データに対する重み付き中央値フィルタを用いた場合における、フィルタサイズが推定結果に及ぼす影響について考察を進めた。結果として、視点空間方向のフィルタサイズが大きいほど、推定の修正がうまく機能した。従来の研究においては、修正処理には2次元データに対する処理が用いられてきたが、これを4次元に拡張して適用することが性能改善に大きく関わることが明らかになった。 また、研究期間全体を通じて実施した研究の成果は以下の通りである。令和2年度はオクルージョンを考慮しないモデルの構築と性能評価を行った。具体的には、線形近似を基にした手法を確立し、そのマッチング性能は他の方法と比べてやや性能が劣るものの、他の方法と比べ非常に高速に動作するという利点を持つことが示された。マッチング性能がやや劣るという欠点を解決するために、令和3年度には、マッチング後の推定結果の修正処理に関する研究を実施し、4次元データに対する新たな重み付き中央値フィルタアルゴリズムを構築した。このアルゴリズムは高速に動作し、また視差修正について効果的に働くことが確認された。 本研究課題では、当初は画像空間における4次元データ群の処理を想定していたが、結果としては画像空間および推定視差空間の二つの4次元データ群を同時に扱う手法を確立できた。得られた視差推定モデルは、オクルージョンを直接的には考慮せず、二つの4次元データ群を扱うことで間接的に考慮した設計となった。本研究で得られたモデルに基づき、二つの4次元データ群を扱う、より高性能なモデルの開発が期待される。
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