研究課題/領域番号 |
20K11889
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
島本 隆 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (20170962)
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研究分担者 |
宋 天 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (10380130)
片山 貴文 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 助教 (70848522)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 次世代知能水産管理システム / 水中知能ロボット / 人工知能 / 画像認識 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、新産業の創出を可能とする次世代知能水産管理システムに必要な核心の技術問題を抽出し、その問題を解決することにより、次世代の養殖管理システムの基盤を構築することである。そして、水中知能ロボットを開発することにより、海域を自律的に巡回しながら対象海産生物を認識し、きめ細かく養殖関連データを採取しつつ養殖捕獲補助まで実現することを目標としている。 提案システムは、自動巡航と高精度識別機能を有する水中知能ロボットによるデータ収集システム・データ分析システム・捕獲補助システムから構成される。このシステムを実現するために、前年度は水中知能ロボットの開発を行った。様々の目的に開発された水中ロボットは多くあるが、水中で自動巡航でき、特定の海産生物を認識し、追跡しながら捕獲まで実現できるものはない。そこで、実用性を見据えて小型かつ安価の水中知能ロボット、及びこのロボットを用いた海産生物認識システムを開発した。完全自動走行可能なロボットを実現するには、対象海産物を高精度に認識し、追跡することが最も重要である。対象海産生物を自動認識するには既存の画像分析手法もあるが、より良い認識率を得るため、深層学習を用いて対象海産物を認識する研究を行った。本年度もこの水中知能ロボットの完成度を高めるため、海水の色や透明度の変化によって、認識性能が著しく劣化する場合を考慮し、自然生息のナマコ・ウニ・ホタテを対象に、様々な水質に対応した手法や画像補間手法などを提案し、自動認識アルゴリズムを遠隔操作ロボットに実装して実験した。また、提案手法を実現するには高い演算量を要するアルゴリズムが多いため、小面積の専用回路で実装し、制御回路全体の低消費電力化を図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響を受け、研究グループ学生が大学に登校できない期間が長く、研究は遅れ気味である。また、国際会議等での研究成果発表も遅れ気味である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終目的である、自動巡航と高精度識別機能を有する水中知能ロボットによるデータ収集システム・データ分析システム・捕獲補助システムが構築できるよう、対象海産物の高精度な認識技術の性能改善、水中ロボットにより障害物を回避しながら巡回し各種データを回収するシステムの構築、そして、収穫補助機能の開発の実現を目指す。 具体的には、水中ロボットに装着した深度付きカメラを用いて作成する海底3Dマップの高精度化を図り、それを利用した自動走行アルゴリズムの高性能化、そして、深層学習を用いた対象海産物の認識率の向上、それを追跡し捕獲できる機能の開発に取り組む予定である。現場と水産会社の声を調査した結果、知能水中ロボットにデータ採取以外に収穫補助機能が強く求められている。多く自然飼育される高級食材は、深い海水に生息し収穫時はダイバーの身体に大きな負担をかけてしまう。本研究で開発する知能ロボットに捕獲用アームを装着し、認識した目標を追跡しながら捕獲する機能を実現する予定である。また、コロナ感染状況次第ではあるが、国際会議等での研究成果発表にも精力的に取り組む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)新型コロナウイルス感染の影響により、国際会議等での研究成果発表ができなかったため。 (使用計画)認識技術の性能改善・水中ロボットシステムの改善・収穫補助機能の開発を実施するためのコンピュータおよびパーツ類等の購入費、国内・国際会議等の旅費等で使用する予定である。
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