研究課題/領域番号 |
20K11894
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
松浦 博 静岡県立大学, 経営情報学部, 客員教授 (60451085)
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研究分担者 |
和田 淳一郎 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (20611536)
井本 智明 静岡県立大学, 経営情報学部, 助教 (20749296)
秀島 雅之 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (50218723)
六井 淳 静岡県立大学, 経営情報学部, 教授 (70362910)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 発話評価 / 咽喉 / 高齢化 / 音声認識 / 音声セグメントラベル / 基本周波数 / オーラル・ディアドコキネシス / 発話訓練 |
研究実績の概要 |
昨年度コロナ禍の影響もあってデータ収集できなかったため、本年度は研究倫理審査を再申請し、加賀市にご協力いただき高齢者の発話データの収集・評価と結果の検討を行った。発話者の年齢は73歳から92歳の45名であり、うち43名が女性であった。収集したデータは「あらゆる現実をすべて自分の方へ捻じ曲げたのだ(以下ara)」と「冬が長くてつらければ それだけ喜びも大きいのだ(以下fuyu)」の2文各2回の発話である。また、オーラル・ディアドコキネシス検査用として「ぱぱぱぱ・・」「かかかか・・」「たたたた・・」を5秒間発話したデータを1回ずつ収集した。発話評価パラメータは、F0変化幅、音声区間長、無音区間長、有声音部F0分散、妥当ラベル比率、かすれラベル、ラベル安定性とした。araのデータでは、年齢と妥当ラベル比率及び、発話パラメータの平均との間で、それぞれ-0.40、-0.32という負の相関がみられた。また、fuyuのデータでは、年齢と音声区間長、妥当ラベル比率、ラベル安定性、発話パラメータの平均との間で、それぞれ-0.42、-0.44、-0.47、-0.36という負の相関がみられた。 一方、pa、ta、kaについては年齢との相関係数がそれぞれ-0.08、-0.16、-0.29であった。認知症の最大のリスクは年齢であると言われる。しかし、オーラル・ディアドコキネシスではkaで-0.29となるに過ぎない。これから、従来、発話のフレイルの評価に使用されることの多いオーラル・ディアドコキネシスに代わって、特に今回のデータで見る限りfuyuの文データにおける、妥当ラベル比率やラベル安定性が高齢化に伴う発話の衰えを反映する指標となる可能性が示唆された。 また、1名の被験者による長期データ収集については3年以上にわたってほぼ毎日、継続している。その結果、確実に発話機能が改善していることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
同一人について年2回の収集を計画していたが、コロナ禍の影響で年度末の収集となってしまったため、1回の収集となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後、加賀市のデータ収集は継続して行い、発話評価の結果の変化を調査する。また、対象施設についても静岡県内を加えるなど、増加を図っていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
加賀市等におけるデータ収集に伴う出張旅費、リモート収集システムの整備や機材の強化に使用する予定である。
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