研究課題
高齢ドライバの事故予防に関連する研究は多くなされている.高齢ドライバは交通事故によって死傷するだけではなく,加害者側となる事例も多く散見される.このことから,高齢ドライバを支援する研究は多くなされている.高齢ドライバに関する研究では,実車両や一般道での調査やドライビングシミュレータ(以下,DS)の利用がなされている.DS を利用した実験のメリットは「事故やトラブルのリスクが少ない」「状況場面の設定・再現が容易」「実験条件の調整が可能」等が挙げられるものの,デメリットとして「映像酔いの発生」が挙げられる.映像酔いは,乗り物酔い等と同じ動揺病の一種と見なされ,視覚情報に起因する動揺病は視覚性動揺病と分類される.映像酔いの症状として,酔いによるふらつきが発生すると,眼球は視界を傾けない様にする為に,ふらつきとは逆方向に眼球が回旋すること(眼球回旋運動)が知られている.本研究の目的は,非接触型の視線計測機器によって計測した視線データを用いて映像酔いの評価指標を開発することで,DS 実験の負担軽減を実現し,さらに映像酔いの早期発見の手法の確立を目指すものである.また,非接触型の視線計測機器を利用することで,自動運転車両のドライバモニタへの技術転用などの発展も期待される.本研究で開発する映像酔いの評価指標は,データサイエンスのアルゴリズムによってDS実験時の視線データに含まれる眼球回旋運動の成分を抽出することで,映像酔いを定量的に評価するものである.2023年度の研究では,若年層の視線データを対象とした解析によって,より精度の高い映像酔いの評価システム開発を実施した.さらに,その研究成果は国内外の学会にて発表した.
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Proceeding of HCI International 2023
巻: Late Breaking Papers ページ: 22~33
10.1007/978-3-031-48050-8_2