研究課題/領域番号 |
20K11915
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
港 隆史 国立研究開発法人理化学研究所, 科技ハブ産連本部, チームリーダー (50359858)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ヒューマンロボットインタラクション / コミュニケーションロボット / ロボットの主体性 |
研究実績の概要 |
本研究では,ロボットがユーザからサポートを受領することで,ユーザに満足感や達成感を与えることができるロボットの実現を目指し,ロボットがユーザとは独立した主体性をもって(ロボット自身の価値基準に従って)振る舞っているとユーザが感じる要因やメカニズムを明らかにする研究に取り組む.ここでは,ユーザのロボットへの共感インタラクションや,ロボットの自発的な感情的振る舞いによって,ロボットへ主体性や心理状態を帰属させることができるかどうかを確かめる.本年度は,具体的な状況として,ユーザが運動(筋トレ)をしている際に,ユーザとのインタラクション(対話)を通してできるだけ運動を継続させるという状況(ユーザがロボットの発言にリアリティが感じなければ,ロボットの説得や励ましがあってもユーザのモチベーションは上がらない)を想定し,人に酷似したアンドロイドロボットが,ユーザに運動を継続させる振る舞い(ユーザへの励まし,共感,非難,皮肉などを伴ってユーザに話しかける動作)を作成した.今後は,これらの振る舞いが,ユーザのどのような状況でモチベーションの変化をもたらすかを実験的に調べることによって,ロボットの主体性を感じるための要因について明らかにする. 現時点では,対話インタラクションを扱っているが,人との接触による共感インタラクションや,ロボットの痛み感覚へ共感なども想定しており,本年度はそれらを実現するためのハードウェア開発にも取り組んだ.接触センサの開発として,人型のアンドロイドが自然な形で装着できるように,布型触覚センサを衣服に取り付け,アンドロイドに着せて人からの接触がセンシングできることを確かめた.また,笑顔のようなポジティブな表情だけでなく,痛みや困惑などのネガティブな表情も自然に表出できるロボットの開発に取り組み,頭部・顔部に35自由度のアクチュエータを備えた顔ロボットを開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ロボットが個として独立した心理状態を持っているとユーザが感じていることが,ロボットとのインタラクションに影響すると考えられる状況を具体的に設定し,インタラクションに必要なロボットの振る舞いの開発を進めたが,開発に時間がかかりその評価までには至っていない.新たに開発したロボットも含めて次年度には評価を進められると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
本年度に開発したロボットの振る舞いを用いて,ユーザのどのような状況でモチベーションの変化をもたらすかを被験者実験によって調べる.ロボットを自律的に振る舞わせるためには,状況認識機能(ユーザの身体的,心理的な状態の認識)が必要になってくるが,要因を実験的に調べる段階では,実験者がロボットを操作して実験する.同時に,必要な認識機能についても開発を行う.また,様々な表情が表出可能な顔ロボットを用いて,痛みへの共感インタラクションなどを通したロボットへの主体性帰属要因を探る調査も行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はロボットの動作開発に注力し,被験者による評価実験に及ばなかったため,実験謝金が発生しなかったが,次年度の評価実験で使用する予定である.また,それに伴って,評価実験用のPC等の機器にあてる物品費も来年度に使用する予定である.
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