研究課題/領域番号 |
20K11937
|
研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
加藤 裕一 島根大学, その他部局等, 名誉教授 (10161126)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | If-then ルール / 決定表 / Forward Neural Network / 判別問題 |
研究実績の概要 |
決定表と呼ばれるデータベースに潜む因果関係をif-thenルール形式で推定する手法として,申請者はSTRIMが提案した.この手法は,従来のラフ集合理論の下近似・上近似集合を利用したルール導出法を,統計的観点から有意水準を有するルール導出法に改善したものである.R5年度の前半は,R4年度後半に取り組んだテーマ:実データへの判別問題に適用可能となるexpanded STRIM(ex-STRIM)を提案し,国内誌:システム制御情報学会誌,に掲載する作業並びに,国際会議:IUKM 2023で発表すると共にこの内容をLecture Notes in Artificial Intelligence に掲載した.これらの内容は,ex-STRIMの判別能力を判別問題でしばしば利用されるRandom Forest (RF)と比較検討したもので,両手法の得失を明らかにした. 後半より,現時点で最も判別問題に利用されるForward Neural Network (FNN)との判別性能比較検討や手法の特性を考察している.判別問題のFNNは,ソフトマックス回帰手法を利用するもので,負の対数尤度法を利用して分布パラメータを学習する.即ち,FNNは入力を条件とする確率分布を出力して,その最大確率値となる判別結果を最終結果とする.一方従来のex-STRIMは,RFに倣いRule Tableからの複数の判別結果を投票により最終結果としていた.FNNとの議論を一致させるために,ex-STRIMを修正し分布出力するmex-STRIMを提案し,シミュレーション実験で現在有効性を検討中である.この考察を整理して投稿予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
expanded STRIMにより,実データへの適用の目途が付いた.今後,現時点で最も精度よく判別分析できると言われるFNNとの比較検討を進め,多くの実データに適用して,その有効性を確認すると共に,実データ毎の固有の特徴に対応する様々な改善策を考察出来る段階に来たので.
|
今後の研究の推進方策 |
近年のインターネット社会の進展により,大量の電子データが発生・蓄積されている.このデータを整理・分析・要約して様々な政策・ビジネス戦略に有効活用することが日常化している.このような人間の意思決定利用状況での重要な問題は,人に理解できる整理・分析・要約表現である.ディープラーニング(NN手法)等によるAI化は確かに便利であるが,そのプロセスは,ブラックボックス化されて,何故そのような決定が合理的なのか,配慮しなければならない点は何か等が分かり難い状況が生まれている.このような最近のAI化の問題点を,STRIMにより改善出来ることを多くの事例で示す.
|
次年度使用額が生じた理由 |
円安の影響もあり、海外出張をしないで、国内の研究会・発表会に留めたことが主要な理由です。
|