研究課題/領域番号 |
20K11941
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
亀谷 由隆 名城大学, 情報工学部, 准教授 (60361789)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 識別パターン発見 / 連関分類器 / 実行監視ツール / メモリ共有型並列計算 / 説明可能AI |
研究実績の概要 |
本研究においては「人間本位の機械学習の基盤技術として識別パターン発見技術を確立する」という目標に対し,副目標1: 医療データに対して ECHO 法が出力する識別パターンに対する解釈・説明可能性の検証,副目標2: ECHO 法における動的優先付け探索の洗練と実行監視ツールの開発,副目標3: メニーコア CPU における ECHO 法のメモリ共有型並列化,副目標4: ECHO 法が出力する識別パターンを利用した高い予測性能を持つ連関分類器の開発,といった4つの副目標を設定している.
副目標1についてはシスプラチン誘発性急性腎障害の発症を予測する連関分類器を ECHO 法に基づき構築し,決定木より高い予測性能が得られることを確認した(第12回 JAMI-JSAI AIM 合同研究会にて発表).ECHO 法で得られる識別パターンは医療的観点からも妥当であると専門家に評価された.副目標2については大きな進捗はなかった.副目標3については,近年注目されるRust言語を用いて頻出パターン発見アルゴリズムである FP-growth 法をメモリ共有方式で並列実装する手法を第36回人工知能学会全国大会および国際学会 IWCIA-2021 にて発表した.これらの研究発表に際して論文調査を拡大し,提案手法の新規性を改めて確認している.更に並列化の対象を FP-growth 法から上位k識別パターン発見アルゴリズムである RP-growth 法へ移行する作業を進めている.また,副目標4については TAAI-19 で提案した連関分類器に関する研究論文を準備している.
このように,複数の副目標について並列的に研究成果が得られており,順調に研究を進めることができていると言える.また,上に加えて本研究課題を包含する研究分野である説明可能 (explainable) AI 分野について技術調査を行い,調査結果の一部を電子情報通信学会スマートインフォメディアシステム研究会にて発表している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上の「研究実績の概要」にて記述したように,複数の副目標について並列的に研究成果が得られており,順調に研究を進めることができていると言える.
特に,副目標1では前年度とは別の医療データに対しても ECHO 法の有用性が示せたことは大きいと考えている.また,副目標3のパターン発見アルゴリズムのメモリ共有方式による並列実装についても国際学会での発表に至り,本研究課題における一つの大きな研究成果になったと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き4つの副目標について並列的に研究を進めていく.
いくつかの成果が得られた副目標1についてはやや優先度を下げてもよいと考えているが,未適用の医療データがあるので引き続き作業を進めたい.副目標2については,RP-growth法の代わりにECHO法の実行監視ツールのプロトタイプ実装を行っていく.副目標3についてはRP-growth 法を並列化する作業を引き続き進め,ECHO 法への並列化につなげたい.副目標4については,TAAI-19 で提案した連関分類器に関する論文化作業を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
端数分を無理に今年度中に処理せず,次年度購入する物品の費用に充てることにしたため.
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