• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

真性粘菌変形体が有する自律的行動選択メカニズムの解明とその AI への応用

研究課題

研究課題/領域番号 20K11948
研究機関長岡技術科学大学

研究代表者

白川 智弘  長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (60582905)

研究分担者 春名 太一  東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (20518659)
太田 宏之  防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 薬理学, 講師 (20535190)
佐藤 浩  防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 准教授 (30295737)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード真性粘菌変形体 / 生物物理学 / 生物計算 / 意思決定 / 人工知能
研究実績の概要

本研究課題では,1. 真性粘菌変形体の自律的な行動選択のメカニズムを実験によって解明し,2. 現象をモデル化することにより工学的に応用可能な形式として表現し,3. それを AIに応用し,変形体の自律性を AI に実装するという3段階の計画を,3年間の研究期間の各年度に実施する予定である.今年度は予定した通り 2. のモデル化に取り組み,概ね計画通りの成果を得た.
今年度の成果として,まず,前年度の 1. の実験結果に基づく学術論文を投稿し,採択に至った(”Observation of Autonomous Behavioral Selection in Physarum Plasmodium”, Logica Universalis, in press).
続いて,1. の結果を基礎として,2. のモデル化を計画通り実施した.1. の実験では,変形体をプラスティックフィルム(忌避物質)内の閉空間に閉じ込め,脱出という行動選択に至るまでの過程を観察する実験を実施したが,この実験を踏まえ,2. のモデル化では,実験における変形体の忌避物質に対する応答性を再現するためのシンプルな遺伝子制御ネットワークモデルを構築した.このモデルは変形体の栄養状態(実験系に長期に渡り閉じ込められることによる飢餓)並びに忌避物質の濃度(実験系内に蓄積される,自らの分泌物に対する忌避性)を入力とし,移動の有無,即ちその場に留まるか脱出するかを出力とする.このモデルはその出力において弱い二峰性を示し,かつその二峰性は通常の双安定性ではなく入力のゆらぎ自身が二峰的構造に対し本質的な寄与を為しているということが明らかとなった.このモデルにより変形体の行動選択を少なくとも部分的には説明することができたと言える.以上の成果について,現在論文投稿の準備を進めると共に,3. の AI 実装に向けた準備も進めている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績の概要で示した通り,2年目となる今年度は3年間,3段階の研究計画のうち2段階目を実施し,概ね予定通りの結果を得た.

今後の研究の推進方策

研究実績の概要で示した計画の通り,次年度においてはモデル化により工学的に応用可能な形式として表現された事項を AI 実装することを目標とする.そのために,そのために,まずは今年度の成果を論文としてまとめ公表した後,AI の作成に着手する.

次年度使用額が生じた理由

コロナウイルス流行の影響により,今年度参加した全ての学会がオンラインでの開催となり,確保していた旅費を使用する必要がなくなったため.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Observation of Autonomous Behavioral Selection in Physarum Plasmodium2022

    • 著者名/発表者名
      Tomohiro Shirakawa, Hiroshi Sato, Kazuki Ishimaru
    • 雑誌名

      Logica Universalis

      巻: - ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Concept Formation and Quantum-like Probability from Nonlocality in Cognition2022

    • 著者名/発表者名
      Yukio-Pegio Gunji, Taichi Haruna
    • 雑誌名

      Cognitive Computation

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1007/s12559-022-09995-1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The asymmetric learning rates of murine exploratory behavior in sparse reward environments2021

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Ohta, Kuniaki Satori, Yu Takarada, Masashi Arake, Toshiaki Ishizuka, Yuji Morimoto, Tatsuji Takahashi
    • 雑誌名

      Neural Networks

      巻: 143 ページ: 218-229

    • DOI

      10.1016/j.neunet.2021.05.030

    • 査読あり
  • [学会発表] 認知バイアスを利用した Naive Bayes による少量の異常データからの産業機械音異常分類2022

    • 著者名/発表者名
      上田 真央,佐藤 浩,白川 智弘
    • 学会等名
      計測自動制御学会第 64 回システム工学部会研究会
  • [学会発表] 報酬量の分散に対する学習率の非対称化による適応2022

    • 著者名/発表者名
      有村 柊一,佐鳥 玖仁朗,神谷 匠,吉田 豊,高橋 達二,太田 宏之
    • 学会等名
      情報処理学会第 84 回全国大会
  • [学会発表] 人間の認知バイアスを利用したナイーブベイズ分類器による産業機械音異常分類の性能向上2021

    • 著者名/発表者名
      上田 真央,佐藤 浩,白川 智弘
    • 学会等名
      計測自動制御学会システム・情報部門学術講演会 2021

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi