研究実績の概要 |
津波高の即時予測において,予め津波シミュレーションを多数のシナリオについて計算しデータベースを用いた予測が行われている.従来の最適なシナリオをデータベースから検索して津波予測をする場合,シミュレーションで仮定しているシナリオの仮定は実際のシナリオと乖離してしまう.そこで本研究課題では,シナリオ混合による広範囲の津波高即時予測の精緻化を機械学習によって行い,徳島県での津波予測システムのプロトタイプに組み込みを目指す. 本年度は、各センサーにおける津波の到達時刻を沿岸の早期津波予測に用いることで精度向上を行った.早期津波予測には、先行研究では海底圧力計のセンサ点における津波の静水圧変化の最大絶対値のみを用いている(Baba et al., 2014, Igarashi et al., 2016).静水圧計データから線形回帰 (Baba et al., 2014)で予測する手法や、ガウス過程回帰(Igarashi et al., 2016)で予測する手法により,改良した津波高予測アルゴリズムを発表している.これらの手法では静水圧計データの時系列情報を圧縮しているが,各センサ点の時間情報は,津波の到達時刻を予測するだけでなく, 津波が進行する方向に関する情報を持っている点において重要である.そのため,データベースから類似の津波事例を抽出するための特徴量として,センサ点において最大津波高を記録した到達時間が有効であると考えられる. そこで,沿岸都市における最大津波高と,センサ点で最大津波高が記録された到達時間を特徴量として,ガウス過程回帰により沿岸都市の最大津波高を推定した.津波の速度は水深にのみ依存するため, 到達時刻はセンサ点と震源の位置関係によって決定される.到達時間の有効性を検証する為,スパースモデリングにおいて到達時刻を選択されるか,また検証データに正規分布ノイズを加えた場合のロバスト性の比較を実施した.
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