研究課題/領域番号 |
20K11961
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
小市 俊悟 南山大学, 理工学部, 准教授 (50513602)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 分子ネットワーク / データベース / 最適化手法 / ケモインフォマティックス / ネットワーク解析 / 合成経路設計 |
研究実績の概要 |
2021年度もコロナ禍の影響を受け,研究時間の確保には苦労した部分もあるが,2020年度に検討を進めた分子ネットワークの構成方法について,プログラムとしての実装を進めた.特に,分子データに対して,どのようなネットワーク構造を与えるかを決めることになる2分子間の類似度や相違度に関して,分子に占める共通部分の割合なども活用することで,分子の大きさなどの影響を受けにくい,より頑健な類似度や相違度とすることができるのでないかと考えて,その実装と検証を進めた.また,2020年度に,化学反応が分子中の一部の官能基を中心に局所的に進むのが一般的であるということから着目した分子構造の骨格部分と末端的部分を区別する方法に関しては,骨格部分を環状構造として,末端的部分を枝状構造として捉えれば,それらを区別することが可能であるとの考えに至り,その方法の実装を進めた.これについても,実装後,検証を進めたいと考えている. 2021年度は,2020年度と比較して,まとまった時間も確保できたので,プログラミングを中心に研究を進めることができたが,依然として実装の途中段階であり,実験や検証を行う段階には到達していないため,学会発表や雑誌論文として,対外的に発表するまでの研究成果までは得られていない.しかし,プログラムは,暫定的にも完成しつつあるので,まずは実装を確実に進めることが肝要であると考える. なお,研究課題としては,本研究課題と直接的な関連はあまりないが,研究のキーワードとして挙げた最適化手法やネットワーク解析に関連する研究で,研究発表に至る成果をいくつか挙げている.そのうちの一つは,2022年度に雑誌論文として公開される予定である.これらの研究過程で得られた知見等も本研究を進める上で参考にしている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度はコロナ禍に起因する授業準備等で,まとまった時間を確保することが難しかったが,2021年度はそれが少し改善され,一定の作業時間を確実に要するプログラミングを進めることができたと考える.一方で,プログラミングに注力したこともあって,2021年度末の時点でも公刊物や発表が少ないこととなったが,研究期間4年間の前半2年間は当初計画でも検討を中心に進めることにしてあったので,研究の進捗自体は,計画から大きく遅れるものではないと考える.研究実績の概要で述べたように,2021年度はプログラムの実装を中心に研究を前進させることができたと考える.2022年度は,プログラムを実行できる段階にまで完成させ,実験と検証を行うことで,手法の改善を進めていく.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度を中心に考案・検討を行った手法を,2021年度には実装することを進められたが,実行して,その結果を検証できる段階にはまだ至っていないので,2022年度は実装を引き続き推し進め,本研究の目的とする分子ネットワークの構築を行い,さらには,その評価・検証を行う.また,本研究課題の独自性として挙げている,分子ネットワークの構築に分子構造列挙を組み合わせることで,既知の分子のみならず,新規化合物の可能性がある構造を含むネットワークを作成することに関しては,列挙される分子構造が条件次第では膨大になるため,適切に順位付けするなどの必要がある.量子化学計算ソフトウェアも活用して,列挙された分子構造を適切に評価し,データの質を担保する仕組みを確立していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度も柔軟な授業形態が求められたために,当初計画していたよりも教育活動にかける時間が増えたことから,研究活動は計画時に想定したよりは制限されている状態が続いたと言わざるを得ない.このことも踏まえ,研究費については,繰り越しを行い,2022年度以降に適宜使用できるようにすることが助成金の有効な活用方法であると判断している.2022年度以降は研究活動が本格的に再開すると期待しているので,その中で,研究計画にも照らして,必要なソフトウェアの購入や計算機環境の整備を行うことで,助成金を適切に,かつ積極的に活用していく.
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