研究課題/領域番号 |
20K11961
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
小市 俊悟 南山大学, 理工学部, 教授 (50513602)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 深層学習 / 数理最適化 |
研究実績の概要 |
2022年度までの成果を踏まえて,2023年度に残された課題の一つは,データベースにない未知の分子構造を組み立てる際,暫定的に構築された構造には欠損があると考えられるが,それがどの部分であるかを自動で特定する方法の確立であった.その一つの方策として,機械学習,特に最近の発展が著しい深層学習を利用して解決することができないかを考えた.その深層学習にも多様な種類があるが,着目したのは,入力が分子構造という数学でいうグラフになる点である.そのようなグラフを入力することを想定した深層ネットワークに,近年注目が高まっているグラフニューラルネットワークがあるので,その活用を検討し,計算機実験で評価することを進めた.また,欠損部が特定されたときに,それを補完する小さな構造が必要であったが,これについても深層ネットワークをいわゆる生成AIとして活用することで構造の生成が可能ではないかを考え,その実現を目指した実験も実施した.これらの実験には,科研費によるRAも活用している. 以上に述べたことは,当初の計画に想定はあったものの,それほど中心的な課題ではなかった.しかし,研究を進める中で,その重要性や最新の成果を取り入れることで解決が可能かもしれないことに気がつき,2023年度に重点的に取り組むことにした課題である.そのため,これらについての結果をまとめるには至っていないが,解決のための算法の基礎に関連して,行列の固有値計算を利用した最適化問題について研究することとなった.これについては,投稿中ではあるが論文としてまとめている. 当初の計画通りではないが,課題を一つ一つ解決している状況であるので,2024年度はそれらを完了し,研究をまとめることが重要であると考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究実績の概要でも述べたように,当初の研究計画では,それほど中心的な課題ではなかったが,目的の達成のためには解決が重要な課題であり,しかも,最新の成果を取り入れることで解決が可能かもしれない課題に2023年度は取り組むことにしたので,研究の進捗自体は計画から遅れ,研究期間の延長を願い出るに至った.計画からは遅れるが,目的達成のための課題を着実に一つ一つ解決していくことが重要であるとの判断である.研究期間の延長で得た2024年度は,システムをなるべく早く完成させ,実験と検証を行い,成果を対外的にも発表していく.
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今後の研究の推進方策 |
研究期間の延長で得た2024年度は,研究の目的を達成するように着実に,かつ迅速に研究を進め,研究の総括を行いたい.2023年度はRAによる研究補助も活用し,計算機実験等による手法の評価を進めたので,2024年度はそれらを精査し,改良すべきところはそれを進め,一方で,システムの完成と研究成果を論文等にまとめる予定である.研究費の残額は多くないが,これまでの研究費で揃えてきた計算機環境があるので,それらを有効に活用して研究を着実に遂行したいと考える.
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度はコロナ禍も落ち着いたので,これまで先送りにしてきた研究費をRAの活用に利用することで,研究を並行して効率的に進めることができた.それにより,研究費のほとんどが執行されるに至ったので,2024年度に残された額は2万円ほどと少額である.そのために使途を慎重に検討したいが,研究データを保存するための記憶デバイスや,計算機環境の維持に必要な電子デバイスの購入などに充て,少額ながらも有効に活用したいと考えている.
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