研究課題/領域番号 |
20K11963
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
廣安 知之 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (20298144)
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研究分担者 |
日和 悟 同志社大学, 生命医科学部, 准教授 (00771247)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 脳機能イメージング / fNIRS / 利他的な行動 / 遺伝的アルゴリズム / ハイパースキャニング |
研究実績の概要 |
本研究では、非侵襲な脳機能イメージング装置の一つであるfNIRSを利用したハイパースキャニングシステムを構築し、同時に取得した複数人の脳機能データの解析から、それぞれがどのような脳機能状態であるかをデータ駆動的に明らかにする手法の提案を行う。提案手法がヒトの社会的行動時の脳機能状態の把握に有効であることを示すために、社会的行動の特徴の一つである「利他的な行動」を行っている際の脳機能データを解析の対象とする。 Interpersonal brain synchronization (IBS) は社会的相互作用中に観察され、相手への親近感や社会的活動の種類など様々な要因が関与していると言われている。先行研究では、見知らぬ者同士のペアでの対面的な相互作用がIBSを増加させることが示されていた。それに対して、知人同士のペアにおいても同様の結果が得られるかを確認した。構築したハイパースキャニングシステムを利用して前頭葉と側頭葉の神経活動を記録した。参加者は、対面条件と顔面ブロック条件という2つの実験設定で、仮想的な経済的交換を必要とする最後通牒ゲームを行った。ランダムペア解析により、IBSが社会的相互作用によって誘発されるかどうかが確認された。前述の研究とは異なり、我々の結果では、協力行動やタスクによるIBSの増加は見られなかった。逆に、ランダムペア解析の結果、左右の上前頭、中前頭、眼窩上前頭、右上側頭、前中心、後中心回で、課題条件でのみペア特異的なIBSが有意であることが明らかになった。この結果から、顔見知りペアの対面的相互作用はIBSを増加させないことが明らかになり、IBSは "誰とどのように相互作用するか "によって影響を受けるといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により、対面実験を試行するのに困難が生じている。計画した実験は終了している。
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今後の研究の推進方策 |
実験の結果と考察はまとめられ、オープンアーカイブにて公開されている。また、学術論文誌にも投稿中である。 さらに遺伝的アルゴリズムを使った特徴量抽出および状態推定法のアルゴリズムを開発し、23年度に国際学会にて発表予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍であったため当初計画していた国際学会への参加、論文発表などが予定通り遂行されていない。22年度は、計画していた国際学会へ参加し、研究成果を発表する予定である。
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