この研究では、非侵襲的な脳機能イメージング装置として注目されているfNIRSを用いてハイパースキャニングシステムを開発した。このシステムを用いて、同時に取得された複数人の脳機能データを分析し、それぞれの脳機能状態をデータ駆動的に把握する新たな手法を提案しました。我々は提案した手法がヒトの社会的行動時の脳機能状態の理解に有用であることを証明するため、「利他的な行動」を行っている時の脳機能データを分析対象とした。前年度は、社会的な相互作用の中で観察されるInterpersonal Brain Synchronization (IBS)において既知の人同士のペアでも同様の結果が得られるかを検証した。さらに今年度は、この研究において、サンプルサイズの効果の検討、反応時間の結果の再検討と既存論文結果との比較などについて再検討を行った。これらの結果は、登校中の論文に反映されている。 脳機能は関連する部位が多くデータは高次元となる。そのため、すべてのデータを利用するのではなく、注目すべき特徴量を抽出して検討することが重要である。対象タスクに対する脳機能データにおける特徴量選択の検討についてはさらに研究を進める必要がある。本年度は、脳機能以外のデータやハイパースキャニングシステム以外から得られた脳機能データを使い、スパース回帰や深層学習を利用した特徴量の検討を行った。 この研究を遂行することで、fNIRSを利用した簡易なハイパースキャニングシステムを構築しその有効性を検討することができた。また、得られた脳機能イメージのデータの解析方法についても検討し有効性を示すことができた。
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