研究課題/領域番号 |
20K11965
|
研究機関 | 米子工業高等専門学校 |
研究代表者 |
徳光 政弘 (徳光政弘) 米子工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60713930)
|
研究分担者 |
高田 拓 東京都立産業技術高等専門学校, ものづくり工学科, 准教授 (80455469)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 元データ推定 / 誤り検出符号 / 知能情報処理 / 探索 / 衛星通信 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、衛星からのデータとこれに付加されている誤り検査・訂正情報、多地点取得の受信データ群を用いて、誤りを含む受信データから元データを推定する手法を検討する。そして、提案手法の元データ推定性能を評価し、有効性を検証する。今年度は、以下の項目を実施した。 (1) 誤りを含むデータの元データ推定実験のために、受信データを整理して解析するためのデータ項目及び書式について検討した。衛星テレメトリデータの受信だけでなく、運用に関する項目を含めることにした。 (2) 超小型衛星「KOSEN-1」を中心にハウスキーピングデータを含むモールスビーコンおよびパケットデータの収集を実施した。KOSEN-1の受信データを対象に、作成したフォーマットを適用して、データの整理を開始した。衛星からのデータ受信は、SDR(ソフトウェア無線)チューナーを活用したデータ受信システムを構築した。指定した時刻に自動でデータ受信からサーバへ受信データを保存する方式とした。自動受信プログラムは作成し、実際の運用を行った。 (3) 複数の地球局で、衛星からのパケットデータを受信する際に、誤りが含まれているパケットデータを他の地球局で受信したデータを活用することで、複数パケットで構成される元データを復元できることを確認した。 (4) 元データ推定手法の評価実験を目的に、通信実験用の衛星モデルとして、超小型衛星「KOSEN-2」の搭載の各種センサやミッション機器をベースにした地上検証用モデルを製作した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
超小型衛星「KOSEN-1」を中心にパケットデータ(画像、テキストファイル、単純なメッセージ)の収集を中心に行い、評価実験に必要な受信データの蓄積を進めた。評価実験のために、受信データを整理するための書式を検討し、作成した書式に沿って受信データの整理を進めた。しかし、個別のパケットデータに対して元データ推定手法を適用した評価実験を実施できていない。また、通信実験のために製作した地上検証モデルの衛星を使用して、画像やテキストメッセージ等のテストデータを用いた元データ推定の評価実験を行う準備をした。今後は、個別のパケットデータに元データ推定実験を行い、衛星運用への有用性を評価する。
|
今後の研究の推進方策 |
衛星テレメトリの受信実験において、KOSEN-1から受信したAX.25形式のパケットデータの基本的な通信受信状況を調べた。1ビットまたは2ビットの誤りを含むパケットに対して、簡易的な誤り訂正を行うことで元のパケットを復元できることを確認した。今後は、誤りを含むパケットデータに対して元データ推定を行うことで、さらにどれくらい有効な受信データ数が増えるか検討する。また、打ち上げ予定の超小型衛星「KOSEN-2」が送信するパケットデータについても、同様にデータを収集し、検討する。 受信したパケットデータを整理するためのフォーマットを活用し、元データ推定の評価実験を進める。受信データは、衛星の軌道位置によって一定に変化する時系列データや、ある一定の範囲を示す定常的なデータ等があるため、これらの適用範囲を検討する。時系列データでは、時系列データの特徴を解析することで、誤りを含む受信データに対して、元データの探索範囲を絞り込むことを検討する。 元データ推定の評価実験では、マルチコアのGPGPUを活用した探索プログラムを作成し、実際の衛星運用における元データ推定の評価を行う。提案手法を衛星運用に適用することで、運用上の課題を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
旅費については、国際会議での発表を予定していたが、発表しなかったため余剰分が生じた。その他の項目については、論文投稿料等の使用を計画していたが成果発表がなかった。今後は、学術雑誌への論文投稿、国際会議・国内学会等の成果発表で使用する。また、本研究を進めるためのプログラム開発、評価実験に参画する研究補助者へ謝金を支出する。
|