研究課題/領域番号 |
20K11967
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
棟朝 雅晴 北海道大学, 情報基盤センター, 教授 (00281783)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 進化計算 / リンケージ同定 / 並列化 / 合成人口モデル |
研究実績の概要 |
令和3年度においては、大規模かつ困難な最適化問題の解決に必要となるアルゴリズムの開発を進め、スケーラブルなリンケージ同定手法の開発ならびに実問題への適用について研究を行った。具体的には、スケーラブルなリンケージ同定手法として、sLIEM (scalable Linkage Identification with Epistasis Measures)の開発ならびに、合成人口モデルに関わる最適化問題への適用を行った。進化計算において互いに関連のある遺伝子を同定するリンケージ同定手法は、個体長の2乗オーダーの計算量を必要とし、多項式オーダーではあるが大規模問題となった場合にその計算量が課題となる。本研究課題で開発したsLIEMは、重要な変数(遺伝子)に関する摂動を中心としてリンケージ同定の対象を絞り込むことで、その計算量を削減しつつ、実問題におけるリンケージ同定の精度を確保している。 スケーラブルなリンケージ同定手法の提供例として、村田らによる合成人口モデルに関わる最適化問題へ適用し、従来手法と比較した優位性を検証した。合成人口モデルは、公開されている自治体の人口分布に関する統計データから、住民それぞれの世帯構成を推定し合成することで、プライバシーを保護しつつ、社会シミュレーションに必要とされる基礎的な人口モデルを求める手法であり、従来手法においては擬似焼き鈍し法を用いた最適化手法が提案されていた。本研究で開発したスケーラブルなリンケージ同定を導入した並列進化計算を用いることで、生成される合成人口モデルの精度を向上(誤差を低減)することができた。また、スケーラブルなリンケージ同定に加え、さらにACO (Ant Colony Optimization)の大規模並列実装、実問題への応用についても検討に着手し、次年度にその成果を公表する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スケーラブルなリンケージ同定手法の開発、ならびにその並列実装、実問題への適用について完了しており、また、さらにACO (Anto Colony Optimization)の大規模並列化についても検討を進めるなど、おおむね順調に進展しているものと判断される。学会等への発表についてはコロナ禍もあり若干遅れているが、現在投稿中の論文も含め、次年度以降に成果を公表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画としては、スケーラブルなリンケージ同定手法のベンチマーク問題への適用、ACO (Ant Colony Optimization)の大規模並列化、実問題への適用、差分進化やPSO (Particle Swarm Optimization)のスケーラビリティ向上、スパースモデリング等スケーラビリティ向上手法の適用検討、スーパーコンピュータ上での大規模並列実装等について検討を進める予定である。対象とするベンチマーク問題としては、大規模大域的最適化(Large-Scale Global Optimization, LSGO)問題に加えて、令和3年度に検討した合成人口モデル以外の実問題への適用を図るべく検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により海外、国内共に学会発表等の出張ができず、旅費について一切執行できなかったため。
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