研究課題/領域番号 |
20K11968
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
渡邉 真也 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (30388136)
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研究分担者 |
榊原 一紀 富山県立大学, 工学部, 准教授 (30388110)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 進化型多目的最適化 / ベイズ最適化 / 分布推定アルゴリズム / 分子限定法 |
研究実績の概要 |
効率的な探索を実現する進化型多目的最適化アルゴリズム(EMO)として,ベイズ最適化(Bayesian Optimization:BO)に分布推定アルゴリズム(Estimation of Distribution Algorithms:EDA)を組みわせた新たなアプローチBO-EDAを提案し,その有効性について検証を行った.提案するBO-EDAでは,膨大な探索空間のうちEDAのメカニズムを活用した有望領域の限定操作を行い,絞り込んだ空間に対するBOを適用することで探索精度の向上を図っている.数値実験より,通常のBOおよびEDAに比べ10次元を超える高次元空間を持つ問題において非常に効果的であることが明らかとなった.特に,探索序盤の進度が早く計算負荷が高く,探索のために利用できる評価回数が限られている場合での有用性が期待できる結果を示した. 一方,多目的混合整数線形計画問題における新たな厳密解法として,分子限定法に代表的な進化型多目的最適化であるMOEA/Dの分割の概念を導入した新たなアプローチMOBB/D(Multi-objective Branch and Bound based on Decomposition)を開発した.提案手法では,多目的問題を複数の単目的問題に分割するとともに,類似する単目的問題の探索情報を有効活用することで,非常に高い探索効率を実現している.数値実験により,複数の単目的問題の探索情報を活用することの高効率性を示すとともに,これまでの既存手法では扱うことができない非常に大規模な問題(多変数,多数目的)においても高速かつ効率的に解を導出することを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ベイズ最適化(Bayesian Optimization:BO)に分布推定アルゴリズム(Estimation of Distribution Algorithms:EDA)を組みわせた新たな進化型多目的最適化アルゴリズム(EMO)アプローチは,高次元の問題で既存手法に比べ非常にすぐれた効率性を示した.本手法には,まだいくつか改善の余地が残されており,さらなる性能向上を見込んでいる. また,厳密解法である分子限定法を多目的最適化問題に応用し,既存手法ではとても扱えない規模の問題に対して現実的な時間内で厳密解を導出するなど大きな成果を挙げることができた. 以上のことから,「おおむね順調に進展している」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
少ない評価回数で高品質な解を導出するための進化型多目的最適化アルゴリズム(EMO)を実現するため,(1)ベイズ最適化を含めた応答曲面法を活用するアプローチ,(2)深層学習を含めた機械学習手法・次元圧縮といった異なるメカニズムを組み込むアプローチ,(3)状況に適用し戦略を変化させるアプローチの異なる3つのアプローチおよびその組み合わせについて検討を行う. 一方,ヒューリスティック解法ではない分子限定法といった厳密解法による多目的最適化への応用についても引き続き検討を進め,経路最適化といった問題での実用的な手法の開発を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度に続き新型コロナウィルスの影響により打ち合わせ・学会がほぼすべてオンライン化されたことにともない旅費が0円となったことが主原因である. 最終年度である次年度は,学会の一部が現地開催となってきつつあることを踏まえて旅費として使用するとともに,昨年度・今年度見送った物品の購入,研究推進のための謝金,英語論文投稿のための投稿料,校正料に活用したいと考えている.
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