研究課題/領域番号 |
20K11970
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
巽 啓司 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (30304017)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 大域的最適化問題 / 準ニュートン法 / カオス / 汎化性能 / 多点探索法 / メタヒューリスティック解法 |
研究実績の概要 |
1)準ニュートン法を用いた多点探索点での近似逆ヘッセ行列更新について a) 各探索点での近似逆ヘッセ行列生成として,昨年度検討した「探索点の近傍探索点との間の近似逆ヘッセ行列の平均として求める方法」をさらに改良した.近傍探索点との間の近似逆ヘッセ行列の平均として求めるのではなく,近似行列での各セカント条件(差分式)違反度の和を最小化するように重みを決定する2次計画問題として定式化し,解析的に求解可能なことや,近傍探索点数が十分に小さい場合,計算量が十分に小さいことを確認した.数値実験により,昨年度の検証した「平均を用いる近似逆ヘッセ行列」を用いた場合よりも,収束が早いことも確認した. b) 近傍内探索点の融合のタイミングや,近さに関する処理に関していくつものバリエーションを用いて数値実験を行い,その有効性を比較した.適用する問題により,大幅に様々に有利・不利な点があることを確認した. 2)摂動型カオスの座標表現に対する不変性の導入について,探索過程に応じて問題表現によらない座標系を選択し,その座標系に基づいて「不変性を維持する摂動カオス手法」「摂動カオスを用いるPSO」を提案した.座標系選択には,PSOのpbest情報を用いた射影法が有効であることも確認した.ベンチマーク問題に対する数値実験により,提案法が,求解の不変性と求解性能を維持することを検証した.さらに,集中化能力の高いGrey Wolf Optimizer と上記のハイブリッド手法を提案し,探索方法の異なるメタヒューリスティック解法を用いることにより求解能力が向上することを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多点探索点間での情報を用いた近似ヘッセ行列生成法の改良や近似解法での摂動型カオスの座標表現に対する不変性の導入に関して,具体的な手法の提案,近似逆ヘッセ行列の解析的な生成法の確認,不変性が保証される理論的根拠の検証や,数値実験による検証などほぼ計画通りに順調に進められている.
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今後の研究の推進方策 |
1)準ニュートン法を用いた多点探索点での近似逆ヘッセ行列更新について 問題により,近傍内探索点の融合のタイミングや,近さに関する処理に関して,なるべく多くの問題に対して有効な方法を選択する.局所解に収束したとみなせる探索点の再スタート法についても検討する. さらに,近傍に他の探索点が存在しない場合の処理(従来型一点準ニュートン法や最急降下法もしくは,微分を用いないメタヒューリスティック解法)についても検討する. 2)摂動型カオスの座標表現に対する不変性の導入について,昨年度検討した「探索過程に応じてpbest情報を用いて,問題表現によらない直交座標系を選択」するのではなく,「付加する座標系をpbest情報を用いた求解すべき空間に集中」して,必ずしも全空間を張るとは限らない,かつ必ずしも直交性を仮定しない座標系を使用する方法を検討し,不変性だけでなく,求解効率の向上も目指す. さらに,集中化能力の高いGrey Wolf Optimizerが原点に解をもつ方法に特化しすぎる性質を改良し,不変性の高い方法を提案,昨年度提案した方法と組み合わせた方法の検証も行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度に引き続き,コロナ禍のため参加した学会がオンライン開催となり,予定していた出張旅費のための支出がほぼ0となったため.さらに,半導体部品の不足等による計算機の部品調達がかなり遅れており,2022年度以降の搬入になったため.2022年度では,それらの計算機の購入とそこで使用する数値計算ソフト(matlab等)の購入にあてる予定.
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