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2021 年度 実施状況報告書

バーチャルデータ発生型ファジィバギングを用いた放送映像の卓球戦略獲得ボードの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K11981
研究機関関西大学

研究代表者

林 勲  関西大学, 総合情報学部, 教授 (70258078)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード放送映像 / 自動シーン切り出し / オクリュージョン解決 / バーチャルデータ発生 / ファジィ推論 / アンサンブル機械学習 / 戦術戦略獲得 / スポーツ情報学
研究実績の概要

本研究は,卓球競技の放送映像の欠損箇所にバーチャルデータ(仮想データ)を発生し,ファジィクラスタリング手法によるアンサンブル学習法(バギング法)を用いて,放送映像から選手の攻撃戦略を自動的に獲得する卓球戦略アプリを開発する.本システムの実現には,放送映像の不必要シーン除去プロセス,ボール軌跡と回転,選手位置の自動追跡を開発する必要がある.なお,観測データの誤識別を除去するため,バーチャルデータを発生するアンサンブル学習のファジィバギング法を定式化する必要がある.2021年度では次の研究実績を得た.
1) 戦略獲得のためのファジィバギング法による深層推論型クラスタリングシステムとバーチャルデータ発生システムの有用性を確認した.
2) 2016年オリンピックの放送映像を用いて,現在,「観測データ収集システム」を開発中である.
1) では,攻撃戦略を獲得するファジィバギング法の定式化のため,深層推論型クラスタリングシステム(pdi-Bagging)の特性とその有用性を確認した.具体的には,2-fold cross validaionのパターン分類データに対して,5種類のバーチャルデータ発生法,バーチャルデータの発生個数,3種類のファジィメンバシップ関数,及び,バーチャルデータのクラス変更のための7種類の評価指標重みを変化させた場合の識別率について議論した.その結果,メンバシップ関数の両端は直角台形型が最も良く,クラス変更回数はバーチャルデータの発生方法に依存し,バーチャルデータの発生個数によって識別率が変化することが明確となった.この成果は学会誌論文として投稿中である.2) では,ボール軌道を自動獲得するため,現在,ボール軌道が選手の身体に隠れてボール位置が不明なオクリュージョン課題を解決している.解決法には直交回帰を用いる予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の最終目的は,ファジィクラスタリング手法によるアンサンブル学習法(バギング法)を用いて,放送映像から選手の攻撃戦略を自動的に獲得する卓球戦略アプリを開発する.2021年度までは次の研究実績を得ている.
1) 放送映像から不必要なシーンを削除し,シーンを分割する「映像抽出システム」を開発した.
2) 戦略獲得のためのファジィバギング法による深層推論型クラスタリングシステムとバーチャルデータ発生システムの有用性を確認した.
3) 2016年オリンピックの放送映像を用いて,現在,「観測データ収集システム」を開発中である.
本システムは,映像抽出システム,観測データ収集システム,戦略獲得システム,戦略表示システムからなる.なお,観測データ収集システムは,ボール位置座標推定,選手観測点座標推定,ボール着弾位置時間推定,ボール回転推定からなる.現在,ボール位置座標推定のオクリュージョン課題を解決している.したがって,2021年度終了の時点で,実績は最終バージョンの約20%程度の完成度となっている.しかし,戦略獲得のための深層推論型クラスタリングシステムとバーチャルデータ発生システムの基本アルゴリズムは約40%程度の完成度となっており,総合的に捉えると約25%から30%の完成度といえる.本研究期間は5年間であるので,2021年度時点での研究実績はおおむね順調に進展しているといえる.

今後の研究の推進方策

卓球戦略ボードの全体構想をまとめると次の通りとなる.
1) 映像抽出システムにより卓球の試合放送映像から不必要なシーンを削除する.2) 2016年オリンピックの放送映像を用いて,観測データ収集システムを開発する.3) ファジィバギング法を用いて,深層推論型クラスタリングシステムとバーチャルデータ発生システムを開発する.4) ファジィバギングを用いて卓球の横形戦略と縦形戦略を獲得する戦略獲得システムを開発する.5) 戦略表示システムを開発し,獲得した相手選手の戦略を可視化する.
1) と 3) に関しては,2021年度までにすでに研究に着手しており,一部は,Pythonプログラムにより完成している.したがって,2),3),4),5) が今後の本研究の主たる内容となる.ただし,2) の観測データ収集システムでは,ボール軌跡が身体によって隠れるオクリュージョン課題が発生し,現在,現在この課題を解決中である.また,3) では,相手選手のサーブの種類とサーブから3球目までの勝利データを複数クラスに分割するファジィクラスタリング法によるファジィバギングの基本アルゴリズムは確定し,その有用性は確認済みである.今後は,卓球戦術戦略獲得に改良する必要がある.同様に,4) では,勝利データの疎の戦術空間にバーチャルデータを発生して認識率を向上させるバーチャルデータ発生システムを2023年度までに完成させ,相手選手の次戦術クラスの推定を行い,クラス間を移動する戦略獲得システムを開発する.最後に,5) として,2024年度までに,獲得戦略を可視化し,自軍の選手への助言と指導を行う戦略表示システムを開発して,卓球戦略ボードの精度と有用性を評価する.

次年度使用額が生じた理由

コロナ感染症のためにすべての出張がキャンセルとなり,当初計画と比較し研究費の転用により差額分が発生した.差額分は次年度に消耗品費として使用予定である.

備考

researchmap: https://researchmap.jp/cbii
Research Port: https://research-p.com/talent/461

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 学会発表 (7件) (うち招待講演 2件) 備考 (5件) 産業財産権 (1件)

  • [学会発表] データの不均衡を回避ししなやかな知識を獲得するアンサンブル機械学習2022

    • 著者名/発表者名
      林 勲,入江 穂乃香
    • 学会等名
      日本機械学会関西支部第240回機械技術フィロソフィ懇話会「データサイエンスの世界から視るしなやかな意思決定理論」
    • 招待講演
  • [学会発表] アンサンブル型機械学習を用いた画像不均衡データでの車種識別法の提案2022

    • 著者名/発表者名
      入江 穂乃香,林 勲,堅多 達也
    • 学会等名
      第26回関西大学先端科学技術シンポジウムポスター発表,Paper ID: No.53
  • [学会発表] 放送映像からの卓球ボール軌道の検出とラリー軌跡の可視化2022

    • 著者名/発表者名
      馮 楊蘊,入江 穂乃香,林 勲
    • 学会等名
      第26回関西大学先端科学技術シンポジウムポスター発表,Paper ID: No.70
  • [学会発表] AIの活用現場2021

    • 著者名/発表者名
      林 勲
    • 学会等名
      大学コンソーシアム大阪2021年度AI講座
    • 招待講演
  • [学会発表] バーチャルデータとルールを継承するアンサンブル学習pdi-Boostingの提案2021

    • 著者名/発表者名
      入江 穂乃香,林 勲
    • 学会等名
      第37回ファジィシステムシンポジウム講演論文集,pp.118-123
  • [学会発表] pdi-Baggingを用いた大規模屋外駐車場での車種識別2021

    • 著者名/発表者名
      入江 穂乃香,林 勲,堅多 達也
    • 学会等名
      インテリジェント・システム・シンポジウム2021講演論文集,pp.207-212
  • [学会発表] 深層学習を用いて卓球放送映像から獲得するボール軌道と戦術知表現2021

    • 著者名/発表者名
      林 勲,馮 楊蘊,入江 穂乃香
    • 学会等名
      第12回横幹連合コンファレンス講演論文集,Paper ID: No.C-3-3
  • [備考] 関西大学 林研究室 研究業績

    • URL

      https://www.cbii.kutc.kansai-u.ac.jp/publications_j.html

  • [備考] 関大研究 Stories

    • URL

      https://www.kansai-u.ac.jp/stories/8_hayashi.html

  • [備考] Kansai University e-bulletin

    • URL

      https://www.kansai-u.ac.jp/Kokusai/e-bulletin/archive/14.php

  • [備考] 関西大学学術情報システム

    • URL

      https://gakujo.kansai-u.ac.jp/profile/ja/a51325WacL8c2d208abaa1c2cce..html

  • [備考] 関西大学先端科学技術推進機構研究員紹介

    • URL

      https://www.kansai-u.ac.jp/ordist/staff/data/id016597.html

  • [産業財産権] 戦術分析装置およびその制御方法,並びに制御プログラム2021

    • 発明者名
      林 勲,入江 穂乃香
    • 権利者名
      林 勲,入江 穂乃香
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2021-152431

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公開日: 2022-12-28  

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