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2023 年度 実施状況報告書

バーチャルデータ発生型ファジィバギングを用いた放送映像の卓球戦略獲得ボードの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K11981
研究機関関西大学

研究代表者

林 勲  関西大学, 総合情報学部, 教授 (70258078)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード放送映像 / ラリー画像切り出し / オクリュージョン解決 / バーチャルデータ発生 / ファジィ推論 / アンサンブル型機械学習 / 戦術戦略獲得 / スポーツ情報学
研究実績の概要

本研究は,ファジィクラスタリング手法によるアンサンブル学習法を用いて,放送映像から選手の攻撃戦略を獲得する卓球戦略アプリを開発する.本システムの実現には,放送映像からラリー画像を切り出し,選手とボール位置を推定し,オクリュージョンを解決し,サーブ回転を推定して,戦術戦略を獲得する必要がある.なお,サーブ回転や戦術戦略獲得において,観測データの不均衡を是正するため,バーチャルデータを発生するアンサンブル学習(pdi-Bagging/pdi-Boosting)を定式化する必要がある.2023年度では次の研究実績を得た.
1) 観測データの不均衡を是正するpdi-Boostingの手法と卓球戦術戦略の獲得手法を国際学会で発表した.また,指向型バーチャルデータ発生を国内学会で発表した.さらに,バーチャルデータ発生型アンサンブル学習の特許を出願し取得した.
2) 2016年オリンピックの放送映像を用いて,2023年度はボール回転の推定システムを開発中である.
1) では,パターン分類データに対して,5種類のバーチャルデータ発生法,バーチャルデータの発生個数,3種類のファジィメンバシップ関数,及び,バーチャルデータのクラス変更のための7種類の評価指標重みを変化させた場合の識別率についての研究を国際学会で発表した.また,pdi-Boostingを用いた卓球戦術戦略獲得への取り組みを国際学会で発表した.さらに,バーチャルデータ発生型アンサンブル学習の特許を2020年に出願していたが2023年度に取得した.2) では,オクリュージョン領域以外のボール位置を推定し,レシーバーの身体座標情報からサーバーのボール回転を推定するアルゴリズムを提案中である.なお,動画は,2016年のリオ・デ・ジャネイロオリンピック大会の卓球女子シングルスの放送映像を用いている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の最終目的は,アンサンブル学習(pdi-Baggingとpdi-Boosting)を用いて,放送映像から選手の攻撃戦略を自動的に獲得する卓球戦術戦略アプリを開発する.2023年度までは次の研究実績を得ている.
1) 放送映像から不必要なシーンを削除し,ラリーシーンを分割して抽出する「映像分割システム」を開発した.
2) 戦術戦略獲得のためのアンサンブル学習(pdi-Boosting)によるクラスタリングの精度を確認した.また,バーチャルデータ発生型アンサンブル学習の特許を出願し取得した.
3) 2016年オリンピックの放送映像を用いて,現在,「映像抽出システム」を開発中である.
本システムは,映像分割システム,映像抽出システム,戦術戦略獲得システム,戦術戦略表示システムからなる.ただし,映像抽出システムは,補正前処理システム,ボール・選手抽出システム,オクリュージョン解決システム,補正後処理システムからなり,ボール・選手抽出システム,補正前後処理システム,オクリュージョン解決システム完成している.現在,ボール回転認識を改良中である.したがって,2023年度終了の時点で,実績は最終バージョンの約40%程度の完成度となっている.ただし,戦術戦略獲得のためのアンサンブル学習の基本アルゴリズムは約70%程度の完成度となっており,総合的に捉えると約50%から60%の完成度といえる.本研究期間は5年間であるので,2023年度時点での研究実績はおおむね順調に進展しているといえる.

今後の研究の推進方策

卓球戦略ボードの全体構想をまとめると次の通りとなる.
1) 映像分割システムにより卓球の試合放送映像をそれぞれのラリーシーンに分割する.2) 2016年オリンピックの放送映像を用いて,映像抽出システムを開発する.3) アンサンブル学習(pdi-Baggingとpdi-Boosting)の基本アルゴリズムを開発する.4) アンサンブル学習(pdi-Baggingとpdi-Boosting)を用いて,卓球の横形戦略と縦形戦略を獲得する戦術戦略獲得システムを開発する.5) 戦術戦略表示システムを開発し,獲得した相手選手の戦略を可視化する.
1) と 3) に関しては,2023年度までに研究の成果が出ている.したがって,2),4),5) が今後の本研究の主たる内容となる.ただし,2) の観測データ収集システムでは,ボール軌跡が身体によって隠れるオクリュージョン問題を解決する手法はすでに提案しており,現在,精度を評価中である.また,ボール回転を選手の位置座標とボール軌道から推定する手法を現在開発中である.さらに,3)のアンサンブル学習(pdi-Baggingとpdi-Boosting)の精度は向上しており,4) において,戦術戦略空間にバーチャルデータを発生して認識率を向上させるアンサンブル学習を早急に完成させ,相手選手の次戦術クラスの推定を行い,クラス間を移動する戦略獲得システムを開発する.最後に,5) として,2024年度までに,獲得戦略を可視化し,自軍の選手への助言と指導を行う戦略表示システムを開発して,卓球戦略ボードの精度と有用性を評価する.

次年度使用額が生じた理由

当初計画と比較し研究費の転用により差額分が発生した.差額分は次年度に物品費として使用予定である.

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2023 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 備考 (4件) 産業財産権 (1件)

  • [国際共同研究] Boston University/Dr.Arash Yazdanbakhsh(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Boston University/Dr.Arash Yazdanbakhsh
  • [学会発表] Influence of Number of Virtual Data Generated in pdi-Bagging2023

    • 著者名/発表者名
      Honoka Irie, Tadashi Nakano, Isao Hayashi
    • 学会等名
      Proc. of the 14th EAI International Conference on Bio-Inspired Information and Communications Technologies (BICT2023)
    • 国際学会
  • [学会発表] Acquisition of Ball Trajectory and Tactics in Table Tennis from Broadcast Video2023

    • 著者名/発表者名
      Isao Hayashi, Honoka Irie, Feng Yangyun, Kazuto Yoshida, Miran Kondric
    • 学会等名
      Proc. of the 14th EAI International Conference on Bio-Inspired Information and Communications Technologies (BICT2023)
    • 国際学会
  • [学会発表] Evaluation of Bagging-type Ensemble Method Generating Virtual Data2023

    • 著者名/発表者名
      Honoka Irie, Isao Hayashi
    • 学会等名
      Proc. of the 20th World Congress of the International Fuzzy Systems Association (IFSA2023)
    • 国際学会
  • [学会発表] pdi-BoostingGでの指向型バーチャルデータの提案2023

    • 著者名/発表者名
      入江 穂乃香,林 勲
    • 学会等名
      第39回ファジィシステムシンポジウム講演論文集
  • [学会発表] AIの基礎と応用 ー 卓球動作解析や医療応用2023

    • 著者名/発表者名
      林 勲
    • 学会等名
      大阪公立大学医学部講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] AI難民をつくらない人工知能2023

    • 著者名/発表者名
      林 勲
    • 学会等名
      関西大学東西学術研究所/経済・政治研究所/法学研究所 2023年度3研究所合同シンポジウム「AI社会の現在」
    • 招待講演
  • [備考] 関西大学総合情報学部 林 勲

    • URL

      https://www.kansai-u.ac.jp/Fc_inf/fm/staff/ihaya.html

  • [備考] 林 勲 研究室 研究業績

    • URL

      https://www.cbii.kutc.kansai-u.ac.jp/publications_j.html

  • [備考] Isao Hayashi Lab, Publications

    • URL

      https://www.cbii.kutc.kansai-u.ac.jp/publications_e.html

  • [備考] Kansai University e-bulletin No.14

    • URL

      https://www.kansai-u.ac.jp/Kokusai/e-bulletin/archive/14.php

  • [産業財産権] 学習装置およびその学習方法,制御プログラム2020

    • 発明者名
      林 勲,入江 穂乃香
    • 権利者名
      林 勲,入江 穂乃香
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2020-51496

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公開日: 2024-12-25  

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