• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

大域的多峰性探索空間における未知解探索アルゴリズムの深化

研究課題

研究課題/領域番号 20K11986
研究機関東京工業大学

研究代表者

小野 功  東京工業大学, 情報理工学院, 准教授 (00304551)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード進化計算 / ブラックボックス最適化 / 大域的多峰性 / ニッチング / 時間枠制約付き配送計画
研究実績の概要

本年度の主な研究成果は以下の研究1~4のようにまとめられる.研究1では,目的関数の最適解だけでなく多数の局所解を求めるためのニッチング手法として最も優れた手法の1つであるHillVallEAを大域的多峰性関数に適用した際の問題点として,1) 高次元空間において大谷を囲う初期分布を作れず,有力局所解の発見性能が劣化する問題,2) 各大谷が多峰性である関数において探索性能が劣化する問題,3) 同じ大谷を重複して探索してしまい探索効率が悪化する問題を指摘し,これらの問題点に対処した手法を提案した.ベンチマーク問題と4枚組標準レンズ系設計問題への適用を通じて提案手法の有効性を確認した.研究2では,与えられた初期分布が最適解を覆っていなく,初期分布の形状が関数景観の概形と異なるときに評価回数が増加するという自然進化戦略DX-NES-ICの問題点に対処した手法を提案した.ベンチマーク問題を用いた数値実験により,提案手法の有効性を確認した.研究3では,変数間依存関係をもつ離散ブラックボックス関数最適化問題における優れた手法の1つであるBOAの問題点として,変数間依存関係が比較的少ない問題においてベイジアンネットワーク構築時に擬陽性の依存関係を多く検出してしまい,探索性能が劣化する問題を指摘し,それに対処した手法を提案した.ベンチマーク問題への適用を通じて提案手法の有効性を確認した.研究4では,時間枠制約付き配送計画問題において最も優れた手法の1つであるEAMAの問題点として,1) 交叉を行った後の解の種類が少ない問題,2) 集団内の個体の多様性が低下する問題,3) 顧客割当の考慮が不十分である問題を指摘し,これらの問題に対処することを目的とした手法を提案した.ベンチマーク問題への適用を通じて,提案手法の有効性を確認した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本年度は,大域的多峰性ブラックボックス関数最適化問題において,複数の多様な有力解を発見するための自然進化戦略に基づく手法を提案し,ベンチマーク問題および4枚組標準レンズ系設計問題において,提案手法が,最も優れたニッチングの既存手法の1つであるHillVallEAよりも優れた性能を示すことを確認した.大域的多峰性空間を構成する各大谷での探索を加速するため,所与の初期分布の形状が関数景観の概形と異なる場合や初期分布が谷底を覆っていない場合に,初期化された大谷の領域と景観を最小二乗法に基づいて推定することにより初期分布を再生成する手法を提案し,ベンチマーク問題を用いて提案手法の有効性を確認した.変数間依存関係をもつ離散ブラックボックス関数最適化問題において,変数間依存関係が比較的少ない問題においてベイジアンネットワーク構築時に擬陽性の依存関係を多く検出してしまうBOAの問題点に対処した手法を提案し,ベンチマーク問題を用いて提案手法の有効性を確認した.以上より,当初の目的をおおむね達成できたと考えている.以上に加えて,時間枠制約付き配送計画問題において,多峰性に起因すると考えられる集団の多様性喪失に対処するための工夫を導入した進化計算手法を提案し,最も優れた手法の1つであるEAMAを凌駕する性能を示すことを確認できた点を考慮して,当初の計画以上に進展していると判断した.

今後の研究の推進方策

今後は,大域的多峰性ブラックボックス関数最適化問題において複数の多様な有力解を発見するための自然進化戦略に基づく手法をさらに発展させ,多様な有力局所解をさらに効率よく発見できるように手法の改良を行う予定である.そのため,上述の研究1と研究2の成果の融合の検討などを行う予定である.また,多峰性を有する多目的ブラックボックス関数最適化のためのマルチスタートスカラー化最適化手法について,目的数のより多い問題において被服度の高い近似解集合を求めることが可能な手法の提案を行いたいと考えている.さらに,研究成果をとりまとめ,国内/国際会議,論文誌にて発表する予定である.

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由は,1) 新型コロナウィルスの影響により国内会議および国際会議がオンライン開催となったことにより旅費を執行できなかったため,2) 学術論文の投稿が間に合わなかったためである.使用計画としては,国内会議および国際会議の旅費および参加費用,および,学術論文の掲載料に充てる予定である.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2022 2021

すべて 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] 目的関数の大域的構造に着目した自然進化戦略2022

    • 著者名/発表者名
      崎原雄大,小野功
    • 学会等名
      第19回進化計算学会研究会
  • [学会発表] 最小二乗法に基づく初期分布の生成を行う自然進化戦略2022

    • 著者名/発表者名
      両角英明,小野功
    • 学会等名
      第19回進化計算学会研究会
  • [学会発表] 離散ブラックボックス関数最適化のためのリンケージ同定を用いる分布推定アルゴリズ2022

    • 著者名/発表者名
      有道茂徳,小野功
    • 学会等名
      第19回進化計算学会
  • [学会発表] 時間枠制約付き配送計画問題のための進化計算手法2022

    • 著者名/発表者名
      進亮太朗,小野功
    • 学会等名
      第19回進化計算学会研究会
  • [学会発表] Distance-weighted Exponential Natural Evolution Strategy for Implicitly Constrained Black-Box Function Optimization2021

    • 著者名/発表者名
      Nomura, M., Sakai, N., Fukushima, N. and Ono, I.
    • 学会等名
      2021 IEEE Congress on Evolutionary Computation
    • 国際学会
  • [学会発表] Natural Evolution Strategy for Unconstrained and Implicitly Constrained Problems with Ridge Structure2021

    • 著者名/発表者名
      Nomura, M. and Ono, I.
    • 学会等名
      2021 IEEE Symposium Series on Computational Intelligence
    • 国際学会
  • [学会発表] An Evolutionary Algorithm Taking Account of Epistasis among Parameters for Black-Box Discrete Optimization2021

    • 著者名/発表者名
      Shimadu, S. and Ono, I.
    • 学会等名
      2021 IEEE Congress on Evolutionary Computation
    • 国際学会
  • [学会発表] 進化計算によるレンズ系設計2021

    • 著者名/発表者名
      小野功
    • 学会等名
      Optics & Photonics Japan 2021
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi