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2021 年度 実施状況報告書

確率微分方程式で記述される制御系の有限状態マルコフ鎖近似法の開発とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 20K11989
研究機関大阪大学

研究代表者

鈴木 康之  大阪大学, 基礎工学研究科, 講師 (30631874)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードFokker-Planck方程式 / 有限要素解析 / 有限状態マルコフ / 確率微分方程式
研究実績の概要

本研究では,確率微分方程式で記述されるシステムの初期値・境界値問題の精度の良い近似解を求める手法を開発すること,およびその応用を目的として,有限要素解析に基づいてFokker-Planck方程式を有限状態マルコフ鎖で近似する枠組みの構築,および,その枠組みの強化学習およびデータ同化への応用を行う.
2021年度の研究では,2020年度に引き続き,Fokker-Planck方程式を有限状態マルコフ鎖で近似する枠組みの構築を行った.2021年度は,2020年度までに構築された枠組みを拡張し,システムのダイナミクスが状態によって変化するような非線形性を有するモデルのFokker-Planck方程式を有限状態マルコフ鎖で近似する枠組みを構築した.より具体的には,この枠組みは,支配するダイナミクスに依存して状態空間を小領域に分割し,各小領域間の境界において,確率流一致の境界条件を課すことで構築された.
構築した枠組みの妥当性を検証するため,具体例として,ヒト静止立位姿勢の神経制御メカニズムとして我々の研究グループが提唱する間欠制御仮説に基づくヒト静止立位姿勢間欠制御モデル(非線形確率微分方程式で記述される)の有限状態マルコフ鎖近似を行い,モデルダイナミクスおよび定常解の数値計算を行った.これにより,本研究で構築した手法が,システムの初期値・境界値問題の数値的近似解を精度良く求められることを明らかにした.この結果は,近く論文発表する予定であり,現在論文投稿の準備を進めている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の第一段階はFokker-Planck方程式を有限要素解析に基づいて有限状態マルコフ鎖で近似する枠組みの構築であり,その枠組みはほぼ完了している.本年度実施した枠組みの拡張により,非線形確率微分方程式を対象とすることが可能となった.ヒト静止立位姿勢の具体的なモデルを用いた計算実験により,構築した枠組みの妥当性も検証された.本研究の応用として有限状態マルコフ鎖近似の強化学習およびデータ同化を試みる予定であるが,その準備は整ったと言える.以上より,本研究はおおむね順調に進んでいると言える.

今後の研究の推進方策

2022年度は,まず,これまでに本研究で構築した枠組み(Fokker-Planck方程式の有限要素解析に基づく有限状態マルコフ鎖近似の枠組み)を広く公開するために,論文発表を行う.さらに,本研究で構築した枠組みの強化学習およびデータ同化への応用を進める.具体的には,強化学習への応用として,ヒト静止立位姿勢制御メカニズムの理解を目的とした倒立振子の制御課題の強化学習において,構築した枠組みで得られる有限状態マルコフ鎖を用いた学習を試みる.また,データ同化への応用として,ヒト静止立位姿勢の計測データより状態空間の各領域に姿勢状態が位置する確率の分布と,有限状態マルコフ鎖から計算されるシステム状態の定常分布の比較に基づく,データとモデルの同化を試みる.

次年度使用額が生じた理由

感染症COVID-19の影響により,多くの会議がオンライン開催となり,旅費の未使用などが発生したため,次年度使用額が生じた.2022年度には,複数の会議へ参加し,研究結果を公開する予定であるため,こちらに合わせて使用する計画である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 確率的ハイブリッド力学系の有限要素解析に基づくヒト立位姿勢間欠制御モデルの有限状態マルコフ鎖近似2021

    • 著者名/発表者名
      鈴木康之,十亀敬伍,中村晃大,野村泰伸
    • 雑誌名

      電子情報通信学会技術研究報告書-IEICE Technical Report-

      巻: 121 ページ: 108-113

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公開日: 2022-12-28  

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