昨年度に引き続き,応用分野について研究を行った.申請書での応用分野としてあげていた読唇システムについては,長期間にわたる聴覚障害者においてはあまり有用ではないと考えられたため,音声から唇画像を生成する方法を考案した.ただ,Reservoir SOMで実現する方法より,現在使用可能な機械学習手法を用いて,オンラインで音声認識を行い,認識結果から画像を生成する方が有用であり,そちらの方向で試作を行った.またもう一つの学生のノート作成状況の取得システムについては,タブレットなどでノートを作成する過程を記録するアプリを開発中であるが,コロナ禍により実験に協力してもらう学生が集まらず実験はおこなっていない. そこで,Reservoir自己組織化マップの応用としては,時系列処理が有用であると考え,時系列予測や異常検出についての研究を進めてきた.特にデータサイエンスの国際会議であるKDDで行われているCompetitionの問題を用いて実験を進めてきた.KDDCUP2021の課題であった,Multi modal時系列の異常検出に関しては,Reservoir 自己組織化マップに正常時の時系列を学習させ,異常を含んだ時系列を用いて予測を行い,予測誤差が大きい部分を異常として検出することで,検出可能であるとわかった.また,KDD2022の課題であった風力発電所の発電電力の予想問題に対しては,134機の風力発電所について一度に学習させることで,高速に全体の電力予測を行えることがわかったが,Reservoirに与える初期値により大きく差があり,その決定方法が問題であることがわかった. また,このような応用には自己組織化マップとして球面SOMを用いるのが有効であると考えられ,球面SOMに関する研究も博士課程の学生と共同で進め,球面Reservoir自己組織化マップを試作した,
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