研究課題/領域番号 |
20K11995
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研究機関 | 青森大学 |
研究代表者 |
黒田 茂 青森大学, ソフトウェア情報学部, 教授 (90431303)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ロコモーション / 多足動物 / ソフトボディ |
研究実績の概要 |
ムカデは、柔らかい体と多数の肢をもつ土壌生物で、体軸と肢の協調運動により不整地や土壌中を俊敏に移動することが知られている。本研究では、柔らかな体と多足移動とを結びつける生物の設計原理を探索することを目的として、歩容パタンが異なるオオムカデ目の2種のムカデ(日本に広く生息するトビズオオムカデとセスジアカムカデ)を対象に(1) 形態学的計測、(2) 胴体の動的粘弾性計測、(3)移動時の3次元運動解析、(4) ムカデ力学モデルのプロトタイプの作成、(5) ムカデの力学的数理モデルの作成と検証を行う計画である。研究実施計画に基づき、2020年度はこのうち主に(1) ~ (3)に取り組んだ。具体的な進捗は以下の通りである。 (1)について: 2種のムカデの複数個体に関して、各体節の大きさ、脚の長さ、脚間距離の精密測定を行い、データベース化した。これにより研究遂行上必要となる正確な形態学的なデータを得ることができた。 (2)について:移動に伴うアンデュレーションに関係する数体節を含む長さスケールに関連したムカデの動的粘弾性を3点曲げ計測法によって測る計測装置を自作し、計測を行った。精密かつ効率的な測定を達成するために、測定装置の台座部分は3DCADで設計し、3Dプリンタにより作成した。現在、計測データの解析を進めている。 (3)について;移動時の体節間距離の正確な見積もり,および,脚の動きと歩容パタンとの関係(隣り合う脚の3次元的な位置関係)を明らかにするためにするために,鏡を利用した撮影レーンを作成し、移動中のムカデを高速カメラで撮影した。精密かつ効率的な測定を達成するために、撮影レーンは3DCADで設計し、3Dプリンタにより作成した。現在、撮影データの解析を進めている。 また、翌年度(2021年度)の計画案に含まれる(4)のプロトタイプモデルの作成に関しても一部繰り上げて着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高い計測精度を目指して測定装置・撮影装置の制作等に当初予定より時間を費やした為、測定実験開始が後ろ倒しになった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度分の研究実施計画のうち未完了分(計測データおよび撮影データの解析)を着実に行う。平行して、研究実施計画(2021年度分)についても着実に進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で学会への現地参加、研究打ち合わせによる出張を今年度は自粛して、来年度以降の旅費として使用することとしたため。
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