研究課題/領域番号 |
20K11997
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
立川 智章 東京理科大学, 工学部情報工学科, 准教授 (90633959)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 多目的進化計算 / 航空交通 |
研究実績の概要 |
進化計算の各ステップはモジュール化が可能して交換することが可能であり、問題に応じて良い組合せをすれば収束性,多様性の向上が期待できるものの、事前に最適な組合せを決めることは困難であることから、本研究では各モジュールの適応的アプローチに関する研究を進めている.今年度は①適応的アプローチのハイパーパラメータの削減法、②設計パラメータの次元削減法、③実問題の並列実装、に関して研究を進めた. ①適応的アプローチの課題の一つにパラメータの数が挙げられる.これは交叉プールに用意する各交叉手法が持つパラメータに加え、交叉の選択戦略に関わるパラメータが含まれるためである.実利用のためには可能な限りパラメータが少ないことが望ましい.そこで今年度は、パラメータの削減の一環として各交叉の最小選択確率の削減を行いその影響評価を行った.削減方法として、最小選択確率を母集団のサイズに応じて自動的に決定する方法を提案した.数値実験の結果、DTLZ、WFGから選んだ代表的な7つのベンチマーク問題において、提案法の有効性が確認できた. ②設計パラメータの次元削減法として既存の交叉手法とは異なる新たな交叉手法の開発に取り組んだ.新たに開発した交叉手法は主成分分析に基づく交叉手法であり、縮約された設計空間で交叉を行うことでより良い解の生成を目指したものである.現状、数値実験を通じて有効性の検証を行っているところである. ③実問題として航空交通流の多目的遅延最小化問題に取り組んでいる.この問題は国内/国際線を含む羽田到着便の到着遅延最小化問題である.変数の数が1000近くあり、最適化のためには多くの評価がかかる.1回の評価に時間がかかる時間は5分程度であるものの逐次的に評価すると時間が非常にかかることから、並列評価フレームワークを構築し、大幅に最適化時間が削減できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は①適応的アプローチのハイパーパラメータの削減法、②設計パラメータの次元削減法、③実問題の並列実装、に関して研究を進めた.①に関しては概ね有効性を示すことができた.②に関しては進捗がやや遅れており、手法の修正および数値実験を行っているところである.予備実験では問題によっては良好な結果が得られている.特に単峰性の特徴を持ったベンチマーク問題では効率よい.一方で多峰性の特徴を持った問題では逆に悪化する場合があり、これは局所解に集団内の多くの解がとらわれてしまうからだと考えられる.これらの問題を解決する手法には目途がついており、それらを含めて提案法の有効性を検証を行っているところである.対外発表含め、進捗を早める必要がある.③についてはフレームワークは完成しており問題はない.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,動的にシステムのパラメータ,アルゴリズムのハイパーパラメータを蓄積された探索データを用いて削減,推定することを行っていく予定である.機械学習で用いられている各種非線形回帰手法や次元削減手法を用いてパラメータを次元圧縮を行うとともに,動的システム学習を用いてハイパーパラメータを推定する.また、アルゴリズムでは並列評価に適した解の優劣評価指標を用いて集団サイズの大規模化の検討を進め,最適化のさらなる効率化を図る.以上より,適応的選択法,パラメータの次元削減法,ハイパーパラメータの推定法を実現を進め,それらを並列実装することで高効率な進化計算手法を構築に取り組む.開発した進化計算手法をベンチマーク問題および実問題に適用し,有効性を実証する.多目的進化計算の研究,特に多数目的最適化手法に関してはこの数年,世界的に非常に活発に行われていることから3年間で成果を出すこと目指す.適応的選択法、パラメータの次元削減法、並列実装については結果が出てきている. 今年度はハイパーパラメータの推定法について研究を進める予定である.まだ対外発表の実施が十分でないため、今年度は積極的に学会発表および論文投稿を行っていく予定である.
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