研究課題/領域番号 |
20K12001
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
麻原 寛之 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (50709615)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 熱電池 / 電力コンディショニング / 非線形現象 / 安定性解析 |
研究実績の概要 |
本研究は、エンジンを有する電動車両の燃費改善に資する研究取組である。自動車のエンジン排気系ユニットは、排気ガスと水冷により数百度の温度差が生じる。これまでの研究取組により、温度差から電気を発電する「熱電池」をこの種の車両の排気系ユニットへ取り付け、バッテリーへ電力回生する「排熱発電システム」の開発を産学連携して進めてきた。しかし、実用化が想定される発電環境においては、温度分布の不均一性(温度ムラ) により、熱電池の出力電力特性に局所解が生じる可能性がある。本申請課題は、学術的な観点から温度ムラ発生時の排熱発電システムの回路動作を解析し、工学的応用につなげることを目的とする。 2021年度は、温度ムラ発生時の熱電池の出力電圧のバラツキを考慮し、熱電池を有する電力変換回路の回路動作を解析した。また、回路設計ソフトを用いて同回路の回路設計および基板実装を行った。回路実験を通じて、電力変換効率、電力利用率、システム効率の観点から、実装回路の性能を評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度は、熱電池を接続した電流制御型DC-DCコンバータの解析を行なった。本年度は、熱電池を温度ムラのある発電環境で使用する(熱電池の出力電圧にバラツキが生じる)ことを想定し、インターリーブ方式電流制御型DC-DCコンバータを構築し、数値シミュレーションによる回路動作解析および回路実験による回路性能評価を行なった。 数値シミュレーションによる回路動作解析においては、前年度に開発したC言語をベースとする回路シミュレータを改善し、回路動作波形、離散写像および分岐現象の解析を行なった。また、MATLABをベースとする回路動作の安定性解析用のプログラムの基礎構築を行なった。 回路実験においては、現有する回路設計ソフトおよび基板加工機を用いてインターリーブ方式電流制御DC-DCコンバータを設計・実装し、回路動作を評価した。 以上に鑑み、研究計画は順調に進展し、当初目標を達成したと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終年度となる2022年度は、2021年度までに提案・構築した開発環境(温度ムラ発生時の熱電池出力特性を考慮したインターリーブ方式電流制御型DC-DCコンバータ、C言語・MATLABをベースとする回路動作解析用プログラム)をベースに、温度ムラ発生時の排熱発電システムの回路動作をより詳細に解析する。また、熱電池を実使用環境で用いた回路動作検証を行い、得られた実験結果をより現実に即した現象解析へとフィードバックするとともに、これまでの研究成果の評価・検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、新型コロナウィルスの影響を受け、当初参加予定であった国際・国内会議の中止またはオンライン開催が相次いだため、次年度使用額が生じました。当該助成金は、次年度以降の学会参加費または論文投稿料等にあてる予定です。
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